その他科学
議論が少し散漫になってしまった感がありますので、結論をまとめますと、 ゲーム理論(や経済学)では・・・ 金銭報酬のみが利得ではありませんし、また選好は主体にとって千差万別です。 ゲームの実験において、実験者が参加者に対して「このゲームをプレイ…
(つづきです) しかし、実験を行う場合には、あらかじめゲームの参加者の内面(つまり選好)まではわかりませんから、実験者側からいわば押し付ける形でゲームを与えるしか仕方がありません。 本人の選好構造と異なるゲームを与えられたとしたら、プレイヤ…
つづきです。 たとえば、「最終提案ゲーム」では、もし金銭報酬“のみ”を利得と考えるプレイヤー同士が参加するのであれば、2段階ゲームを考えたときに、応答者は1円(1ドル)でも分け前をもらえる提案であれば受諾しますし、提案者は相手に1円(1ドル)だけ…
最終提案ゲーム(ultimatum game)を生身の人間に行わせると、提案者はあまりに不公平な提案はせず、応答者はあまりに不公平な提案がされると金銭報酬がもらえなくなるのを承知でそれを拒絶します。 この結果をもって「ゲーム理論の予測する合理的な利得最大…
かけ算問題に決着をつけた(ついていませんが!)その矢先、足し算にも正しい順序があるのだ、という、またもやわけのわからない教育方針が小学校の算数教育の現場で猛威を振るっているらしいという情報が入ってきました。(もちろん、黒木玄さんのtweetが情…
まず、(上に挙げた問題のような解釈を挟まない)純粋に数字同士のかけ算を考える場合、 「3✕5」と「5✕3」がどちらも同じ答えである「15」という数字を導いてくれることにこそ意味があります。 かけ算の可換性(交換可能性)という性質ですね。 (ちなみ…
(もう、何年も前からtwitterなどのメディアを中心としてネット界隈をにぎわせているネタなのですが、) 小学校の算数教育の現場で、かけ算には順序があり、順序を逆に書いてしまうと間違いだと判定されるという教育がまかり通っているらしいのです。 この問…
世の中に「1万時間の法則」と呼ばれる法則があります。 ひとつの物事に1万時間、打ち込んで没頭すれば、その分野でプロフェッショナルなレベルまで上達することができるという経験法則です。 プログラマー、ピアニスト、ミュージシャン、スポーツ選手・・…
昨日のエントリーですが、説明不足があることに気づきました。 期待効用理論では、効用関数を用いてくじの期待効用を以下のように計算します。 1%で10000円、99%で0円もらえるくじであるなら、 確実に10000円もらえるときの効用に1%をかけたものと、確実に0…
(前回のエントリーからの続きです) どうでしょうか? みなさんは、どうお考えになりましたでしょうか? 実は、期待効用理論の立場からは、上記に挙げたいずれの人たちも、それぞれに「合理的」でありうるのです。 宝くじを買わないヒトは、「リスク回避的…
さて、3日前のエントリーで発した問いに立ち返りましょう。 「(期待値が販売額を下回る)宝くじを買う人は非合理的なのか?」という問いでした。 期待値原理の立場からみれば、(賞金の期待値が販売額より小さい)宝くじを買うという行為は非合理的と解釈…
サンクトペテルブルクのパラドックスに対して、ダニエル・ベルヌーイはある解決策を提示しました。現代のコトバで言えば「ヒトは期待値原理によって行動をするのではなく、期待効用原理にしたがって行動する」というものです。 くじの例で言えば、期待賞金額…
ヒトは期待値原理にしたがってくじを選ぶわけではない。 このことを明らかにしたのが、サンクトペテルブルクのパラドックスです。 早速ですが、つぎのようなくじについて考えてください。 みなさんなら、このくじの購入にいくらまでであれば支払ってもよいと…
みなさんは宝くじを買うことは/買ったことはありますか? 宝くじの払戻率は5割程度ですから、200円の宝くじを買うたびに、期待値では100円の損をする計算になります。 ちなみに我が国における宝くじの売上金額はおおよそ1兆円だそうです。ということは毎年、…
さて、この最終提案ゲームを実際の生身の人間にプレイしてもらうとどのような結果になるでしょうか?つまり、参加者を募って、実験を行ってみるわけです。参加者はどのような行動をとるでしょうか? 実験では、実験者が参加者にゲームのルールを説明して十分…
最終提案ゲームにおけるそれぞれの参加者(プレイヤー)の最善手について考えます。 まず、応答者がどう考えるかから見ていきましょう。提案者の提案を受け入れることによって実現できるか、拒否することによって破棄できるかの権限を握っているのは応答者だ…
Ultimatum gameは、「最後通牒ゲーム」もしくは「最終提案ゲーム」と翻訳されます。ゲーム理論で取り扱う「ゲーム」の中で、手番のあるゲームの典型例です。 ゲームの参加者(プレイヤー)は2人。提案者(proposer)と応答者(受け手、responder)です。こ…
昨日紹介した今野浩先生の本で面白かったところをご紹介します。 エピソード1 著者の今野先生は卒論のタイトルを「ゲーム理論に関する考察」とした。 フォン・ノイマン&モルゲンシュテルンの大著『ゲームの理論と経済行動』に取り組むも、数十ページでダウ…
10/28のエントリーで触れた、森口繁一教授(故人)の逸話を読んでみたいと思い、今野浩著「工学部ヒラノ教授と昭和のスーパー・エンジニア —森口繁一という天才— 」をざっと読みました。「この本の構成中に交通事故で亡くなったジョン・ナッシュ教授」という…
なお、質問の時間はなかったのですが、もしその時間があれば質問してみたかったことを書いておきます。 1)社会シミュレーションにもとづいて、その予想がどれくらい確からしいかを検証する大規模社会実験がおこなわれたことは過去にありますか?(事後的に…
先日(10/29)、構造計画研究所主催のKKE Vision 2015に参加しました。 午前中に合原一幸先生の講演を、午後の鳥海不二夫先生の公演を聞く予定だったのですが、故あって、鳥海先生の講演しか聞けませんでした。 鳥海先生の講演タイトルは「計算社会科学へよう…
突然ですが、サンデル教授の「白熱教室」でも話題になったトロッコ問題(trolley problem)です。それぞれの文章を読んで、yesかnoか考えてみてください。 トロッコジレンマ:暴走したトロッコが線路上を走っており、このままでは5人の作業員を轢き殺してしま…
工学部の先生がとある工学上の問題を数学者の先生に相談したときのこと、 数学者の先生が「あなたの話は具体的でわかりにくい。もっとわかりやすく抽象的に説明してくれませんか?」と言ったというエピソード。 工学者と数学者の思考における嗜好の違いが垣…
一昨日紹介したコサイン類似度ですが、文書・文章の類似度の評価に使われていることも併せて説明しました。 ちょっと気になって、Googleで、文書・文章にnotをかけてコサイン類似度について検索したところ、文章の類似度に関係のない文脈では、コサイン類似…
ちょっと故あって、心理実験用プログラミングの環境を整える必要があり、Psychtoolbox(PTB)のインストールをしました。 私が使っているPCのオペレーションシステムのバージョンに合った、OctaveとPsychtoolboxをインストールする必要があり、かなりの時間を…
ちょっと故あって、2つのベクトル間の類似度や相関係数にあたるmeasureで、値が0から1までの間をとるようなものを探しています。 相関係数だと、−1から+1までの範囲をとるので、目的に適いません。 (相関係数も無理やり0から1の値に変換することはできそ…
これまでも何度か述べたとおり、脳波計測を含む生体計測(バイオメトリクス)を行うことの意義は、インタビューや質問紙調査などの言語報告では得られないデータを得られるところにあります。 クルマのデザインの研究に表情筋計測を応用した事例があります。…
英語では、facial codingやfacial trackingなどと呼ばれる表情計測の技術も進歩しており、マーケティング調査などでも広く応用されています。 表情径計測では、webカメラなどを使って、調査参加者の顔の映像を撮り、表情に現れる情動の推定を行います。 世界…
視線計測の調査結果をいくつかご紹介してきましたが、記事を読まれた方の中には、「そんなこと当たり前じゃないか。わざわざ視線計測をするまでもないのでは」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。 Webページやポスターに人物が登場していれば、自然…
会社のwebページに、問合せ用の電話番号を載せているのに、電話がかかってきた試しがない。そんなお悩みはありませんか? Webページの目的は、訪問者に商品やサービスの「問合せ」をしてもらう、実際に「購入」してもらうなど、行動喚起を引き起こすことにあ…