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脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

頭部移植手術は可能か?(2)

前回のエントリーで、サルを対象に頭部移植手術は行われた実例がある、と書きました。

実際の映像も記録がありますが、ショックを受ける方もいるかもしれませんのでリンクは貼らないでおこうと思います。

YouTubeなどで「Head Transplant」をキーワードにしてお探しください。

 

 

 

私がこのニュースを見て、まず思ったことはiPS細胞であれば、拒絶反応の問題を解決できるのではないか、ということでした。

つまり、本人の体細胞から作成したiPS細胞を使って、首から下の身体を生命倫理に抵触することなく作りあげることができれば、この患者を拒絶反応の苦しみに陥らせることなく救うことができるのではないかと考えたのです。

iPS細胞由来の身体であれば、自分の細胞から臓器や筋肉や骨など体のパーツがつくられているため、拒絶反応を起こすことがないからです。

 

目の病気ですが、滲出型加齢黄斑変性の治療法として、網膜色素上皮細胞の移植手術という選択肢があります。これをiPS細胞から培養した細胞シートでの手術として実施した理化学研究所の髙橋政代研究員は、iPS細胞を用いる利点として、拒絶反応が起こらないことを挙げています。

 

網膜という非常に小さい部位の手術でも、他人の細胞を用いる場合には、免疫抑制剤を使用して拒絶反応を抑える必要があります。それは、身体への負担があまりにも大きいので、iPS細胞を用いて手術を行うことには大きな便益があるというわけです。

 

しかしながら、現実問題として、iPS細胞を応用する場合、臓器単位の培養ではなく、身体単位の作成となると生命倫理の問題に抵触してしまうでしょうし、また今回のような移植手術に適用するための医学的・技術的な問題も短期間では解決されないものと考えられます。

 

 

ともかくも、サルを対象とした手術においては、頭部移植手術は少なくとも技術的な観点からは可能であることが示されています。

 

当面の間、私たちにできることは手術の成功とその後の患者の男性の回復を祈ることのみであるということになりそうです。