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脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

ギリシャ国民投票の結果が出ました

ギリシャ国民投票ですが、事前の世論調査では支援受け入れのYESとNOが拮抗しているとの報道でしたが、いざ蓋を開けてみると、ギリシャ国民からは大差での「NO」が表明されました。

この結果を受けて、欧州各国では軒並み株式市場が大荒れの展開を見せているようです。

 

今回の騒動では、「痛みを引き受けようとしないギリシャの国民が改心して、国民投票でYESの回答を出すか?」という観点からの報道が多かったのではないか、あるいはそのような見方をしていた人が多いのではないか、という印象を私は持っていました。

 

 実際には、そのような見方が間違っている可能性を示唆する、以下のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のオピニオン記事が、一部ネット上で関心を集めているようです。

 

【オピニオン】ギリシャ危機、金融メディアが語らない10のこと

http://jp.wsj.com/articles/SB10468926462754674708104581085121389238598

 

 この記事によれば、ギリシャは2009年の危機以降、身を切るような支出削減(しかも、当初の約束を上回るくらいの債務削減)を実現したにもかかわらず、IMFが予測したような回復が起こらなかったこと、経済状況はますます悪化し、この8年間でGDPは25%、輸出は40%減り、失業率は25%もの値に達していることなどが記されています。

 

つまりユーロ危機後、ギリシャは債務削減を支援者側の期待を上回る以上に真摯に行ったのに、経済状況はますます悪化の一途をたどってしまったというわけです。

 

この手の経済問題が起こるたびに、人はそれを倫理の問題だと受け取りがちです。

つまり、キリギリスのような生活をしていたギリシャ人が経済的な苦境に立たされるのは当然のことで、痛みを受け入れることでまっとうな状況に立ち戻れるであろう、そういうふうな観点から物事を捉える性向が人には備わっているようです。

 

その見方は、幾分かは正しいのだと思います(自国の経済状況に見合わない、公務員の厚遇や、厚すぎる年金支給など)。しかし、一方で痛みを受けれても経済状況の改善はなされず、ギリシャ国民をますますの苦境に追いやっていることをつぶさに観察すれば、上記のような見方を一国の経済に当てはめてある種の要求を行うことは、問題の解決にはまったくつながらないということもまた正しいことがわかるのではないでしょうか。

 

ようは、一国の経済が不況にある中で緊縮財政を行うのは、あまりにも無謀だったということです。ギリシャのこの数年間の経験は、それを体現したものでした。

今回の国民投票で「YES」の声が上がったとすれば、根本的な問題解決につながらない、ギリシャ国民にさらに痛みを求めるだけの(ただただ懲罰的なだけの)政策をギリシャが強いられるという図式が続いていた可能性があったので、ひとまず「NO」がつきつけられたのは懸命かつ冷静な審判だったのでないかと思います。

以前も書きましたように、そもそもギリシャが自国通貨ドラクマで経済運営ができていれば、自国の経済状況に適した金融政策をとることができたわけですし、今回のような危機の際には、ドラクマが減価することで海外からのギリシャへの旅行客が増えると考えられるので、観光立国であるギリシャとしてはとても助かることでしょう。


ユーロに縛られない枠組みが適切な手続きによってギリシャに与えられることで、ギリシャ国民にとっても他の欧州諸国の人々にとっても、世界中の人々にとってもより良い結果が訪れますよう事態の進展を祈りたいと思います。

 

(・・・ところで、国民投票関連のニュースへのコメントを見ていて思ったのは、ユーロ離脱とEU離脱がごっちゃになって議論されていることが多いということです。これについては再度、イギリスは自国通貨ポンドを持ちつつ、EUに参加していることを指摘しておきましょう。

ギリシャにとってはEUへの参加を維持することで、ギリシャにとっても他のEU参加国にとっても政治的な便益を受けることができると思いますし、ユーロから離脱することで、経済的なメリットも享受できるのではないかと思うのです。)

 

erratum:

上記のWSJの記事の9番目の項目を引用します。

 

9.パニックになるな。今回のギリシャ危機は他の世界にとって大きな問題にならないはずだ。ギリシャ経済の規模は米アラバマ州のそれと同じくらいだ。市場は既にギリシャの金融資産の大半を償却している。ギリシャ危機が「伝染」するのは、海外の政策担当者がそれを放置した場合だけだろう。

 

 

(実際のところ、世界の経済が今後どのような動きを見せるかは私には予想はつきませんが、)上記記事にしたがう限り、6月30日のエントリーでの次の言明には、事実誤認があったようです。

「欧州各国の金融機関はギリシャ国債を大量に保有しているため、2009年のユーロ危機の再来にならないか、金融不安が広がっています。」

 

私の事実認識が2009年以降更新されていなかったということになりますので、上記の2行は謹んで訂正いたします。

なお、当該エントリーの他の部分については、問題点はないものと思っております。