脳波計測(2)
脳波の臨床応用の世界では、熟練した脳波検査技師が、脳波の生データから直接、異常所見などを発見します。このような形で脳波検査は医療の分野で活用されています。
それとは異なり、生理心理学的な立場から脳波の研究を行う場合、生データに解析を施して情報を抽出するのが通例となっています。その際、大きく分けて2つの側面からのアプローチが考えられます。「周波数解析」と「事象関連電位」がその2つです。
【周波数解析】
アルファ帯域は8~12Hz、ベータ帯域は13~30Hz、・・・という具合に、脳波の基調を成す律動は特徴的な周波数成分を有しています。
生データに対してノイズ除去等を行ったあと、周波数解析をおこない、脳波の中にアルファ帯域やベータ帯域などの周波数成分がどのくらい含まれているのかを調べることがあります。
たとえば、目を閉じたときは目を開いたときに比べて、アルファ波にあたる8~12Hzの周波数成分の強度が増加します(アルファ波は閉眼安静時によく観察されます)。
このような方法論を用いて、
-リラクセーション効果のある商品の使用により、ユーザーがどれくらいリラックスしているか、
-スポーツ時にアスリートがどのくらい集中をしているか、
-広告やCMの内容が視聴者の脳にどれくらい強い反応を引き起こしているか、
などを調べることができると考えられています。