脳波計測(3)
前述の周波数解析は、ある一定時間以上の長さの計測データを対象に行われることが多いのですが、脳波研究では、外界の刺激提示タイミング(たとえばパッケージ画像などの提示タイミング)を基点にした脳の反応を調べる必要に迫られることがあります。
このときに用いられるのが事象関連電位(event related potentials; ERP)を調べるという方法です。
事象関連電位とは、その名の通り、ある事象に関連して生じる電位変化のことです。たとえばヒトの顔画像を見ると、画像呈示後170ミリ秒後や250ミリ秒後などに特徴的な事象関連電位の成分(ERP component)が観察されることが知られています。
事象関連電位は背景活動に埋もれているため、計測の際には数十回程度の加算平均処理を行う必要があります。視覚情報処理の研究をおこなう場合には、画像刺激をくり返し提示し、その脳反応を足しあわせて平均をとることで、背景活動をならし、事象関連電位を浮き上がらせる必要がありま
事象関連電位を用いた調査では、様々な脳の反応を捉えることができます。
たとえば、魅力度を事象関連電位で測ることも可能です。
このような調査の際には、参加者に複数の画像を見せて、魅力的であるか否かを判断してもらいます。
魅力的な画像を見たときには、魅力的でない画像を見たときに比べて、事象関連電位の遅い成分が陽性方向に振れます。
これが魅力度を反映した脳活動であると考えられています。
このような方法論を用いて、
-商品デザインやパッケージの魅力度評価
-疲労度の測定
-映像コンテンツへの没頭度の評価
-うそ発見器
などへの応用が行われています。