近赤外線分光法(NIRS)とは
NIRSは高度な情報処理を司る大脳新皮質の活動を捉えることができる測定手法です。
これを用いることで問題解決の能力である実行機能、報酬への反応、感情のコントロール、言語情報処理などについて調べることができると考えられています。
手のひらを太陽にかざすと、皮膚を通して血液が流れているのが見て取れます。
太陽光に含まれる近赤外線が皮膚を透過するためです。 この原理を応用し、脳活動を調べる方法論が近赤外分光法(near‐infrared spectroscopy; NIRS)です。
NIRSによる脳機能イメージングでは、脳の一番外側、大脳新皮質の神経活動にともなって生じる血流動態を調べることができます。
大脳新皮質は霊長類の中ではヒトで最も発達し、社会性や言語など高度な情報処理を司る領域です。
脳が情報処理を行うと、酸素や栄養を運ぶため、局所的に血流が増加します。 酸素を運ぶヘモグロビンを酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)、酸素を運び終えたヘモグロビンを脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)といいますが、NIRSではこの両者の集中度を計測することができます。
身体を拘束され、3mm以上の身動きが許されないfMRIとは違い、 比較的ゆるい拘束条件での脳機能計測が可能なNIRSは、 基礎研究のみならず、マーケティングや医療などの応用研究への広がりも期待されています。