報酬系(2)
報酬系のつづきです。
中脳にある腹側被蓋野(VTA)から発するドーパミン神経系が報酬系の実体です。
A10神経(エーテンしんけい)というコトバに見覚え、聞き覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。(ひと昔前は、「A10神経=快感の神経」などと表記されることもありました)
中脳にA系列、B系列、C系列と名付けられた神経核があり、それぞれ、神経伝達物質である、ドーパミン、セロトニン、アドレナリンを放出します。
A系列の10番目の神経核が報酬に関連するドーパミン神経系であり、A10神経の名前の由来です。
腹側被蓋野から発したドーパミン神経は側坐核と前頭葉に投射して、ドーパミンを放出します。
これが「快」情動をもたらすことで、われわれが「依存」や「やみつき」と呼ぶような状態が生じると考えられてきました。(※ここが過去形になっている理由は、エントリーを改めてご説明いたします)
なお、動物にとっては、エサであったり、飲料であったり、生命の維持に関わる生理的な刺激が報酬になりえます。人間にとっては、元来、生命の維持等には関係のない、金銭報酬、社会的な賞賛、心地よい音楽など、文化的なモノ・コト(cultural object)が報酬になり得るのです。
お金をもらえればうれしい、誰かにほめられればうれしい、好きな音楽を聞くと感動するわけですが、そのときに、報酬系(側坐核など)が活動していることがわかってきました。前エントリーで触れた、fMRIやPETといった非侵襲生体計測装置により、作業中・課題中の人間の脳活動を可視化することが可能となったのです。
学術的な観点からも、ビジネス的な観点からも報酬系の研究は大きな注目を集めています。