報酬系(4) 選好(preference)を表現するニューロンはどこにある?
ヒトや動物には好みがあります。
好みを調べるもっとも簡単な方法は、直接本人にたずねてみることです。
あるいは、選択肢を複数あたえて、いずれを選ぶかという行動(behavior)を観察する、という方法もあります。
さて、好みについてですが、
ラーメンとカレーならラーメンの方が好き、
カレーと牛丼ならカレーの方が好き、
という具合に2つの選択肢を与えられたときにいずれが好きかを判断することができます。
場合によっては甲乙つけがたい(=無差別)ということもあるでしょう。
サルにも好みはあります。
レーズンとリンゴならレーズンが好き、
リンゴとシリアルならリンゴが好き、
といった具合です。
このような好みは行動観察などから推定することができます。
さて、ヒトにも動物にも好みがあるわけですが、脳にはこのような好みの関係を表現する神経機構が備わっています。眼窩前頭皮質(OFC)にあるニューロンが、好みの順位を反映して、活動を変化させることが知られています。
好みの順番が、レーズン>リンゴ>シリアルだったとしましょう。
するとレーズンがもらえるときとリンゴがもらえるときでは、レーズンがもらえる状況でより強くOFCのニューロンが活動します。
一方、リンゴがもらえるときとシリアルがもらえるときでは、リンゴがもらえる状況でより強くOFCのニューロンが活動します。
つまり、このニューロンは特定の報酬や刺激に対して反応しているのではなく、複数の報酬の相対的な価値を評価しているといえるわけです。
コーヒーも紅茶も飲むけど、好みでいうとコーヒーの方が上だな、という選好関係が成立する裏側には、このような神経機構の存在があるのです。
Tremblay, Léon, and Wolfram Schultz. "Relative reward preference in primate orbitofrontal cortex." nature 398.6729 (1999): 704-708.