報酬系(5) マーケティング行動は味の好みや報酬系の活動にも影響を与える
高級なワインと安物のワインを飲み比べる機会があったとしたら、あなたはいずれのワインの味を好むでしょうか?
ワインの質による?そうですね、その通りです。
けれども実はワインの質は変わらず、値段だけが違うとしたら・・・?
そんな実験がすでに行われています。
参加者は、MRIスキャナーの中に横たわって、チューブを通してごく少量のワインを与えられます。飲んでいるワインの価格の情報も与えられた上で、どのくらい美味しいと思うかを評価します。
すると、実際は同じワインであるにもかかわらず、値段が高いという情報を与えられたワインに対して、ヒトはより美味しいと判断をするのです。
さらには、課題中の脳機能画像から、高いワインのときに安いワインのときと比べて、報酬系である内側眼窩前頭皮質(mOFC)や腹内側前頭前皮質(vmPFC)の活動が高くなることが明らかにされました。
この研究により、値付け(によりワインの高級感、高品質感を演出する)というマーケティング行動の有効性が脳科学的にも証明されたというわけです。
Plassmann, Hilke, et al. "Marketing actions can modulate neural representations of experienced pleasantness." Proceedings of the National Academy of Sciences 105.3 (2008): 1050-1054.