報酬系(9)
前のエントリーでは、wantingとlikingが異なること、従来から報酬系と呼ばれていたシステムはwantingに関連していると考えられることについて述べました。
Wantingとlikingの違いについて人間の観点から考えてみましょう。
重度の向精神薬中毒患者は、向精神薬を強く欲するようになります。
渇望(craving)と呼ばれるほどに強く向精神薬を欲するのです。
しかし、向精神薬(のもたらす快感)を好んでいるのでしょうか?
向精神薬使用の初期のころは、薬のもたらす快感を強く感じるようです。しかし、やがて快感は薄れ、禁断症状から逃れたいがために麻薬を使うようになります。つまりlikingは減ってしまい、もう快感は得られないにもかかわらず、wantingに突き動かされて向精神薬を欲し、使用してしまうのです。
このような事例からもwantingとlikingの乖離が見て取れます。