報酬系(10):買い物のときの脳活動(1)
日々の経済活動は、私たちの暮らしと切っても切り離すことのできないものです。あるいは現代人にとっては生活の中心をなすものといっても過言ではないかもしれません。
経済活動の中心になるのは仕事と買い物です。つまり、「労働の提供」により対価である賃金(=金銭報酬)を得ることと、日々の生活の糧を得るための「消費行動」の2本柱から、私たちの経済活動は構成されています。
みなさん、欲しいものはたくさんあるでしょう。
おいしい料理、見知らぬ土地への旅行、高嶺の花の服飾品・装飾品等、手に入れたいものには限りがないと思います。
しかし、一方で予算には限りがあります。欲しいもの全てを入手することはできないでしょう。
つまり与えられた予算の制約のもとで、どの商品やサービスが自分にとって必要なものなのか、ほしいものなのかを見極めて、購入の意思決定を下すのです。
購入の意思決定をするにあたってのポイントのひとつは、便益と費用のバランスです。つまりその商品なりサービスを購入することによって得られる便益と購入にかかる費用を比べたときに、便益が費用を上回っているかが重要なポイントになります。
便益は、好みかどうか、欲しいかどうか、自分によって有用かどうかが判断基準になり、報酬系の関与が想像されます。
一方、費用は、脳の中ではお金を手放すことの痛みに対応すると考えられます。
では、私たちが買い物をするとき、脳のどこの部分がそのような情報処理を行っているのでしょうか?
(つづく)