シャドーパーソンの正体は?
部屋には自分ひとりしかいないはずなのに、自分の背後に誰か人がいるような気配を感じたことはありませんか?
それはシャドーパーソンかもしれません。
昨日のエントリーに引き続きBlankeらのグループの研究です。
左の角回を刺激することにより、自分のすぐ背後に性別があいまいで動かない影の人(shadow person)がいるような幻覚が生じる22歳のてんかんの患者の事例が報告されました。
脳は、身体からさまざまな情報を受け取り統合しています。皮膚からの触覚情報や、関節の角度など四肢の位置情報などが神経を通して脳に集まり、身体感覚を生み出しているのです。
よってシャドーパーソンの正体は、自身の身体感覚が生み出した幻影であり、ほんらい自分自身の身体だと認識されるべきものが、他者であるかのように認識されているという現象と考えられます。
その患者は、シャドーパーソンの姿勢や位置が自分自身と似ていることには気づきつつも、これが自分自身のカラダの幻覚であることは認識しなかったそうです。(パラノイア、被害妄想などの精神症状のメカニズム解明につながるかもしれないと研究グループは考察しています。)
夜中などに自分の他に人がいないにもかかわらず感じる人の気配の正体は、脳が生み出した錯覚なのかもしれません。
Arzy, S., Seeck, M., Ortigue, S., Spinelli, L., & Blanke, O. (2006). Induction of an illusory shadow person. Nature, 443(7109), 287-287.