脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

割引率は一定か?

割引率、割引因子を考えるときは、計算の都合上、一定の率で割り引くことが多くあります。1年後の利得を割り引くために割引率5%で1.05で割るなら、2年後の利得を割り引くには1.05の2乗で割り引くといった具合です。

 

離散的に割り引くのではなく、連続的に割り引く場合には指数関数を使って割り引きます。exp{−rt}などといった関数(tは時間)をかけることで現在割引価値の計算をおこないます。これを指数割引と呼びます。

 

さて、ここで簡単な質問をします。

 

今日1000円もらえるのと、明日1050円もらえるのではどちらを選びますか?

 

この質問に対しては、多くのヒトが今日の1000円を選ばれるのではないでしょうか?

 

では100日後の1000円と101日後の1050円ではどちらを選びますか?

この質問に対しては、多くのヒトが後者すなわち101日後の1050円を選ばれるのではないでしょうか?

 

しかし、割り引き方が時間を通じて一定であるという考え方と、この結果は矛盾するのです。

 

もしあなたが、100日後の1000円と101日後の1050円を比べたときに後者を選ぶとすると、1日先の未来の利得の割引率が5%以下であることを意味します。割り引き方が時間を通じて一定であれば、明日の1050円の現在割引価値は1000円以上のはずであり、1日待って明日の1050円を選ぶはずです。しかし、実際にはそうはならないとするならば、(ひとつの解釈は)割引率が時間を通じて一定ではないということを意味しています。

 

このような質問調査の結果などから、指数割引は現実には妥当しないのではと考える研究者もいるのです。