赤ちゃんの認知を研究する
赤ちゃんの認知能力はさまざまな角度から研究されています。
たとえば、赤ちゃんには簡単な計算能力は備わっているのでしょうか?
そのような疑問を持った場合、検証するためにはどのような実験的手続きをとればいいのでしょうか?
物言わぬ存在であることを意味するinfantであるところの乳児の認知を研究するためには、乳児に備わった能力を上手く利用して実験設計をする必要があります。
現在の発達心理学研究では、
選好注視法(preferential looking method)
馴化-脱馴化法(habituation/dis-habituation method)
期待背反法(violation of expectation method)
などの各種方法が開発され、研究に応用されています。
選好注視法は、赤ちゃんに複数の(通常は2つの)刺激を並べて呈示して、どちらを長く見るかを調べる方法です。
1960年代(※)にファンツによって開発されました。
(※1950年代説や1960年代説、その他、1961年説などがあり、
どれが正しいのかよくわかりません。正確な年代がわかったら続報をお送りします)
ファンツのオリジナルな方法では赤ちゃんは仰向けにされて、その視線の先に実験刺激である画像を配置します。実験者は、その画像の裏側から赤ちゃんの顔を覗き込み、赤ちゃんの視線を追います。(2つの画像の間に、覗き穴が開いていてそこから赤ちゃんの顔を見ることができるようになっています)
実験者の役割は、赤ちゃんの視線の向きの変化を検出することです。
これにより、赤ちゃんがどちらの画像刺激をより長く見ていたかを記録します。
選好注視法によって、赤ちゃんは「顔」刺激を選好することなどが明らかにされました。
参考文献
開一夫「赤ちゃんの不思議」岩波新書(2011)