脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

シャープなモノに反応する扁桃体

記憶を司る海馬の先端に、アーモンド状の構造が扁桃体(amygdara)です。

恐怖(fear)な表情の顔画像などを見たときに強く反応することが知られています。扁桃体を切除されたサルが、正常なら怖がるはずのヘビを怖がらなくなる実験映像は有名なのでご覧になったことのある方も多いかもしれません。扁桃体の役割のひとつは自分にとって「脅威(threat)」になるものを識別することにあると言えそうです。

 

ヒトに、シャープな形のものと、丸みのある形のものとを見せたときの脳活動を調べた研究があります。

 

この研究では、丸みのある形のモノの方が参加者に好まれる傾向がありました。

さらに、シャープな形のモノに対しては、扁桃体がより強く活動することも明らかになりました。文字盤の部分が四角い腕時計と、丸い腕時計では、四角い腕時計に対して、扁桃体が強く活動したのです。

 

鋭い形のモノはヒトにとって脅威であり、それらを見ると自動的に扁桃体が活動することで、脳は陰に陽に防御態勢をとるための準備をしているのかもしれません。

 

 

参考文献:

Bar, Moshe, and Maital Neta. "Visual elements of subjective preference modulate amygdala activation." Neuropsychologia 45.10 (2007): 2191-2200.