Go/No-go課題
前頭葉はさまざまな高次認知機能を司っていますが、抑制機能もそのひとつです。ヒトは理性を持っているため、不適切な行動を抑制することができます。スーパーで買い物をしている最中におなかが空いたからといって、急につまみ食いをしてしまうようなことは(普通の大人なら)しません。食欲があっても、モノを勝手に食べるという不適切な行動をしないように前頭葉が抑制をかけているのです。
このような抑制機能を実験室で調べるために利用されるのがGo/No-go課題です。
典型的な課題としては、下記のようなものが挙げられます。
「パソコンの画面を見ていて、青いランプが点灯したらなるべく速くボタン押しを行い(=Go課題)、赤いランプが点灯したらボタンを押してはいけない(=No-go課題)」
まずは、Go課題、すなわち、青いランプの点灯とその直後のボタン押しをたてつづけに行います。
それからNo-go課題を付加します。青いランプに対してはGo課題のままで、赤いランプに対してはNo-go課題を追加するわけです。
すると、青いランプへの反応時間はGo課題だけのときよりも、Go/No-go課題のときの方が、遅くなります。ボタンを押していいのか、押してはいけないのかを判断するのに時間がかかるからです。
さらに赤いランプに対しては、ボタンを押してはいけないという抑制もかけているわけですが、これらの機能を前頭葉が担っているのです。