脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

アルコールを飲むと前頭葉の抑制機能が働きにくくなる

アルコールを飲むと心地よくなります。リラックスして饒舌になったり、明るくなったり、逆に泣き上戸になったりするヒトもいます。つまり、アルコール摂取により感情等の抑制が外れやすくなるわけです。

 

さて、飲酒は認知能力にどのような影響を与えるのでしょうか?

 

Go/No-go課題を用いたアルコール摂取の効果を調べた研究があります。

実験では、成人参加者に体重あたり約0.5mlのアルコール摂取になるよう飲酒をしてもらいました。

 

お酒が入っていない状態では、Go/No-go課題を行うと、下前頭皮質(inferior frontal cortex, IFC)が活動します。そしてミスの数が少ないのです。

このとき、IFCの活動は右半球優位になります。このような左右半球の活動によって、Go/No-go課題時の抑制機能が実現されると考えられます。

 

一方、お酒が入ると、ミスが目立つようになり、IFCの活動の左右差も消失してしまいます。飲酒がさまざまな認知機能の低下を引き起こすことは経験的に知られているわけですが、脳活動の観点からはこのような変化が起きていたのです。

 

 

参考文献:

Tsujii, Takeo, et al. "Characterization of the acute effects of alcohol on asymmetry of inferior frontal cortex activity during a Go/No-Go task using functional near-infrared spectroscopy." Psychopharmacology 217.4 (2011): 595-603.