Mothereseはなんのため?
母親が乳児に語りかけるときの、端的でいて、ゆっくりとした抑揚のきいた話し方のことをMotherese(マザリーズ)といいます。
これまで、マザリーズは、お母さんが意識的に、あるいは知らず知らずのうちに、赤ちゃんの言語発達を促すために、はっきりとわかりやすい言葉づかいをすることで発せられる話し方だと思われてきました。
理化学研究所の研究グループが、この仮説を検証するため、お母さんが赤ちゃんに話しかけているときの会話(infant-directed speech)と、お母さんが大人と話しているときの会話を録音し、赤ちゃんに話しかけているときの言葉の方が、明瞭に発話されているかを検証しました。
この結果、従来考えられていたのとは逆に、大人向けのスピーチの方がより明確に発音されていることが判明しました。
これにより、お母さんがはっきり発話することで赤ちゃんの音韻カテゴリーの形成を促進しているという仮説は妥当ではない可能性が出てきました。
参考URL:
理化学研究所プレスリリース(2015年2月6日)
赤ちゃんに話かけるときは、はっきり発音していない
-大規模音声データを使って乳児に対する音声の明瞭さを解明-
http://www.riken.jp/pr/press/2015/20150206_2/
参考文献:
Martin, A., Schatz, T., Versteegh, M., Miyazawa, K., Mazuka, R., Dupoux, E., & Cristia, A. (2015). Mothers Speak Less Clearly to Infants Than to Adults A Comprehensive Test of the Hyperarticulation Hypothesis. Psychological science, 26(3), 341-347.
http://pss.sagepub.com/content/26/3/341.short