脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

チンパンジーに最終提案ゲームをプレイしてもらうと・・・(1)

最終提案ゲームを生身の人間にプレイさせると、提案者も応答者も不平等を回避するかのような行動をとるということがわかりました。一方、自閉症のヒトに最終提案ゲームをプレイさせると、金額の多寡のみによってゲームが利得が決まっているかのような行動をとることがわかりました。

 

では、最終提案ゲームを人間以外の動物にプレイしてもらうと、どのような振る舞いが見られるでしょうか?ある種の動物は社会性を持っていることが明らかにされています。では、人間と同じように他者の気持ちを慮り、不平等回避的な行動をとるのでしょうか?

 

その前に、そもそも、動物に最終提案ゲームをプレイしてもらうなどということが可能なのでしょうか?

 

なんと、この問題をきちんと解決し、チンパンジーに最終提案ゲームをプレイしてもらった研究があるのです。

実験では、2頭のチンパンジーに提案者と応答者になってもらい、10単位のエサを分配してもらいました。しかし、人間の参加者にコトバで教示するようにはルールを理解してもらうことは不可能です。では、この研究チームはどのようにしてチンパンジーに最終提案ゲームをプレイしてもらったのでしょうか?

 

明日のエントリーでは、その工夫について解説したいと思います。

 

 

参考文献:

Jensen, K., Call, J., & Tomasello, M. (2007). Chimpanzees are rational maximizers in an ultimatum game. science, 318(5847), 107-109.