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脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

チンパンジーに最終提案ゲームをプレイしてもらうと・・・(2)

チンパンジーに最終提案ゲームをしてもらう場合、コトバで詳しい教示を行うことは難しいでしょう。10単位のエサを提案者役のチンパンジーに渡して、「自分の取り分と相手の取り分に分けて、応答者に提案しなさい。応答者が提案を受け入れてくれれば、あなたの提案どおりの分配が実現します。しかし、応答者が提案を拒絶すれば、あなたも応答者もエサはまったくもらえません」と説明をしても、チンパンジーにとってはチンプンカンプンのはずです。応答者のチンパンジーも同様に教示は理解できないはずです。

 

 

そこで実験では、最終提案ゲームを簡略化すると同時に下記の図のような物理的なセッティングを用意することで、チンパンジーたちにもゲームのプレイヤーとして振る舞ってもらえるような工夫をしました。

 

 

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2頭のチンパンジーが提案者と応答者役に選ばれます。

両者の見える位置に、棚が置いてあります。

棚の中には2つの分配案が用意されています。

 

片方の分配案は

固定案「提案者が8単位、応答者は2単位」

に固定されています。

 

 

それと比較用のもう片方の分配案として、下記の4通りの案が準備されています。

 

5/5案「提案者が5単位、応答者も5単位(=非常に公平な提案内容)」

2/8案「提案者が2単位、応答者は8単位(=非常に利他的な提案内容)」

8/2案「提案者が8単位、応答者は2単位(=もう片方の固定された代替案とまったく同じ提案内容)」、

10/0案「提案者が10単位、応答者は0単位(=提案者だけが利益を得られる非常に不公平な提案)」、

 

 

 

提案者は、固定案と上記4案のうちのいずれか1つの案がならべられた棚を見て、どちらを提案するかを決めます。2つの案のどちらかをロープを引いて引き寄せます(図A)。

(しかし、この状態では参加者のチンパンジーはエサを獲得できません。)

 

ついで、応答者は、提案内容と代替案を見比べて、これでよいと納得すれば(※過度な擬人化すみません!!説明の便宜のためです)、自分の手元のロープを引き寄せます(図B)。

 

つまり応答者が提案内容を受け入れて、ロープを引いてくれれば、提案者も応答者もその分配案が実現し、エサを食べることができるのです(図C)。

 

 

このような仕組みによって、簡略版の最終提案ゲームを実装し、チンパンジーでもプレイできる環境が整いました。

 

 

次回エントリーに続きます。

 

 

参考文献:

Jensen, K., Call, J., & Tomasello, M. (2007). Chimpanzees are rational maximizers in an ultimatum game. science, 318(5847), 107-109.