チンパンジーに最終提案ゲームをプレイしてもらうと・・・(3)
さて、最終提案ゲームをチンパンジーにプレイしてもらうための環境が構築できました。
チンパンジーは実際にどのようなふるまいを見せてくれたのでしょうか?
このゲームの実験の結果は下記の表の通りでした。
代替案が5/5(=両者均等に分ける)のときは、提案者は75%は8/2(=自分が8単位、相手が2単位)の提案をし、応答者はそのうちわずか5%を拒否しました。
代替案が2/8(=応答者にとって非常に有利な提案)のときは、提案者は87%は8/2の提案を選び、応答者はわずか7%を拒否しました。
代替案が10/0(=提案者が独り占め)のときは、提案者は46%は10/0を提案しました。このとき、応答者の拒絶率は44%に跳ね上がりました(56%は相手を許した、とも言えるでしょう)。
総じて、チンパンジーは、エサがまったくもらえない結果よりも、不公平ではあっても、エサが少しでももらえる状況を選択した、といえるでしょう。
この結果にもとづき、論文の著者たちは、チンパンジーはゲーム理論が予想するような合理的な利得最大化を行うプレイヤーであると解釈できる(チンパンジーはrational maximizerである)、と結論づけています。
参考文献:
Jensen, K., Call, J., & Tomasello, M. (2007). Chimpanzees are rational maximizers in an ultimatum game. science, 318(5847), 107-109.