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脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

宝くじを買うヒトは不合理?(3):期待効用原理とは

サンクトペテルブルクパラドックスに対して、ダニエル・ベルヌーイはある解決策を提示しました。現代のコトバで言えば「ヒトは期待値原理によって行動をするのではなく、期待効用原理にしたがって行動する」というものです。

 

くじの例で言えば、期待賞金額が大きければいいというわけではなく、賞金からもたらされる満足度の度合いである「効用」(くじのようにいくらの賞金がもらえるかが確率的に定まる場合は「期待効用」)の大きさが、意思決定に関与すると考察しました。ヒトはくじがもたらす期待効用と、確実な金額である100円のもたらす効用と、どちらが大きいかを勘案して意思決定をすると考えたのです。

 

さて、賞金額に対する効用は、もらえる金額が大きくなればなるほど、大きくなりますが、追加的1単位の金額に対する満足度の度合いは徐々に小さくなっていくでしょう。手持ちが10万円のときに追加的に1万円もらった場合の喜びと、手持ちが1億円のときに追加的に1万円もらった場合の喜びを比べたら、前者の方が大きいと考えるわけです。

 

たとえば、「効用はもらえる金額の平方根をとった数値として表される」と仮定すると、上記の状況が数学的に表現されることになります。

 

 

この場合、コイン投げのくじの「期待効用」は以下のように計算されます。

 

 

1回目 √(2) ✕ 1/2

2回目 √(2の2乗) ✕ 1/(2の2乗)

3回目 √(2の3乗) ✕ 1/(2の3乗)

4回目 √(2の4乗) ✕ 1/(2の4乗)

・・・

・・・

 

これらの和は有限の値に収束します。

(ぜひ、ご自身の手で計算してみてください)

 

 

いま、上の数値(くじの期待効用)は円ではなく効用の単位で測っており、その効用を与えてくれる「ある金額」が存在します。このような形状の効用関数を持つ個人は、それ以上の金額を支払ってまでこのくじを購入しようとは思わないでしょう。

(くじの期待効用がわかれば、この金額も計算できます)

 

 

結論だけ書きますと、その金額は3+2√2円(約5.8円)です。

 

みなさんも、上記の数字を見て、「このくじの参加額としては妥当な数字だ」とお感じになられるのではないでしょうか?

 

 

※計算等、間違いがありましたらコメント欄にご指摘くださいませ。