宝くじを買うヒトは不合理?(4):リスクに対する態度
さて、3日前のエントリーで発した問いに立ち返りましょう。
「(期待値が販売額を下回る)宝くじを買う人は非合理的なのか?」という問いでした。
期待値原理の立場からみれば、(賞金の期待値が販売額より小さい)宝くじを買うという行為は非合理的と解釈できました。しかし、実際のヒトは期待値原理にしたがって行動することはありません。ダニエル・ベルヌーイが300年前に案出したヒトの意思決定原理は「期待効用原理」でした。
今回は、先の問いを、期待効用原理の立場から考えてみたいと思います。
たとえば、1%の確率で10000円、99%の確率で0円のくじが100円で販売されているとします。くじの期待賞金額は100円、一方、くじの販売額も100円です。期待値原理にしたがう個人はこのくじを購入してもしなくてもどちらでも構わないことになります(=期待値が等しいので)。
では、期待効用原理の立場からは、このくじを購入するヒトは、「合理的」といえるのでしょうか?それとも「非合理的」といえるのでしょうか?
また、このくじを購入してもしなくてもどちらでもよいというヒト、さらにはこのくじは購入しないというヒトは「合理的」なのでしょうか?そうではないのでしょうか?
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ここで、次回へ向けた準備として、「リスク」というコトバを導入したいと思います。「リスク」とはどんなイベントが起こりうる可能性があるのかがわかっており、さらに、それらのイベントの起こる確率がわかっているような状態のことを指します。
上記のくじですと、10000円という結果が1%、0円という結果が99%の確率でそれぞれ起こることがわかっているので、これは「リスク」のある状況です。
100万円当たるという出来事が50%の確率で、200万円当たるという出来事が50%の確率で起こる、というくじなり状況なりも(どちらもうれしい出来事なのですが、)「リスク」のある状況と考えます。
リスクとは日本語でいう「危険」を表すわけではなく、物事が確率的に起こり、かつその確率がわかっている状況を指すコトバです。
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くじを買うことは合理的なのか、非合理的なのか、お考えください。
(解説は次回につづきます)