宝くじを買うヒトは不合理?(6):期待効用に関する補足
昨日のエントリーですが、説明不足があることに気づきました。
期待効用理論では、効用関数を用いてくじの期待効用を以下のように計算します。
1%で10000円、99%で0円もらえるくじであるなら、
確実に10000円もらえるときの効用に1%をかけたものと、確実に0円もらえるときの効用に99%かけたものとの和として、元々のくじの効用が計算されます。
確実に10000円もらえるときの効用と、確実に0円もらえるときの効用にそれぞれ1%と99%の重み付けをした線形結合として、くじの効用が計算される、といっても同じことです。
昨日のエントリーの数値例の場合、効用関数をU(・)とすれば、
確実に100円もらえる場合の(期待)効用は、U(100)
1%で10000円、99%で0円のくじの期待効用は0.01U(10000)+0.99U(0)として表されます。
リスク回避的な個人の効用関数の場合は前者の方が大きい値になり、
リスク中立的な個人の効用関数の場合は両者は等しくなり、
リスク愛好的な個人の効用関数の場合は後者の方が大きい値になります。
これらの値の大小関係がそれぞれの個人の意思決定を反映していると解釈するわけです。
なお、なぜくじの期待効用が、確実な賞金に期待効用を重みづけして足し合わせたものになるのかについては、効用関数の背後にある選好関係がそのような計算を可能にする数学的な公理を満足しているからである、と述べるにとどめておきたいと思います。