「かけ算には順序がある」なんていう算数教育がまかり通っているらしいです!(後編)
まず、(上に挙げた問題のような解釈を挟まない)純粋に数字同士のかけ算を考える場合、
「3✕5」と「5✕3」がどちらも同じ答えである「15」という数字を導いてくれることにこそ意味があります。
かけ算の可換性(交換可能性)という性質ですね。
(ちなみに高校生や大学生になって、行列の計算を習う段階になると積の順序が変わると結果が変わることがある(=行列の積は一般には可換でない、非可換である)ことを学びます。)
数同士のかけ算は可換なのですから、順番を変えてはいけない、ということはありません。
むしろ、どちらの順番でも良い、ということを学ばせるべきでしょう。
つぎに、上に挙げたような具体的な状況設定が計算の背後にある場合について考えたいと思います。
この場合は、かけ算の順番を教えるのではなく、計算に必要な「単位」の概念を教えてあげるべきだと思います。
つまり、「3人に対して(1人あたり)5個のリンゴを配る」なら、
3[人]✕5[個/人]=5[個/人]✕3[人]=15[個]
として、3✕5だろうが5✕3だろうが、単位の計算を理解していれば、OKとしてあげるのです。
かけ算には正しい順序があるのだ、などというまったく妥当性のない、しょうもないことを教えて、算数嫌いを増やす暇があるなら、上に私が書いたことを教えることの方がよっぽど教育的に価値のあることではないでしょうか?
ただし、かけ算の九九を覚えたての小学2年生には単位のかけ算は難しいかもしれませんから、教えるのは中学生になってからでもいいのではないかとは思います。
よって、小学生の間は、かけ算の順序にこだわらせる必要など、まったくありません。まずは、計算に何度も何度もくり返しくり返しトライさせ、計算の技術が身につくことを優先させるべきでしょう。
かけ算に正しい順序はあるかないか論争(?)も、これで無事解決ですね、と100%の自信をもって今回のエントリーをお届けしました。