認知課題いろいろ(1)
カフェインなど、食品や医薬品に含まれる化学物質には認知機能や気分を変化させる効果を持つものがあります。
そして、ヒトの認知を調べる研究の中には、それらの化学物質を摂取することなどを含む種々の「介入」により、どのような認知的な機能が向上するかを検証することが目的で実施されるものがあり、評価したい認知機能ごとにいろいろな認知実験が用意されています。
本エントリーでは、それら認知課題をいくつか紹介していきたいと思います。
【認知課題1】Digit span test
ここでいう“Digit”というのは「数字」のことです。
Digit span testは、ワーキングメモリを調べる調査です。
パソコンを使って実験を行う場合は、画面上に何桁かの数字を提示します。
たとえば・・・
82503
と提示して、これを覚えてもらいます(シンプルな課題ですね)。
典型的には順唱課題と逆唱課題があり、
順唱課題では覚えた数字を並び順に再生してもらいます。
逆唱課題では覚えた数字を逆順に再生してもらいます。
一般に、順唱課題の方が、より長い桁数の数字を覚えることができます。
【認知課題2】Trail Making Test
Trail Making Testはワーキングメモリや、反応抑制、タスクの切り替えなど、主に前頭葉が司る機能を調べることができます。
1番シンプルなものは、画面上にランダムに配置されている複数の数字を、(マウスなどを使って)順番に選んでいくという課題です。
難しいものでは、数字とアルファベットが混じって提示されます。
それを数字、アルファベットを交互に、かつ順番(昇順)にクリックしていく必要があります。
「1,2,3,4,5,A, B, C, D, E」
という10個の刺激があったら、
「1→A→2→B→3→・・・」
というふうに回答していく必要があります。
数字を選んだらつぎは数字を選ぶのを抑制して、
アルファベットを選ぶという課題にスイッチしなければなりません。
(つづきます)