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脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

映画「ビューティフル・マインド」の中で・・・(1)

ゲームの話を書いていたら思い出したので。 

 

映画「ビューティフル・マインド(A Beautiful Mind)」は、N人非協力ゲームにおける解概念(solution concept)である「ナッシュ均衡(Nash Equilibrium)」の定式化とその存在定理を示すなど、ゲーム理論の初期の発展に大きな貢献をした数学者ジョン・ナッシュの波乱に満ちた半生を描いています。原作シルビア・ナサー。映画は2001年度のアカデミー賞の作品賞を受賞しました。

 

この映画の中に、ナッシュが今日「ナッシュ均衡」と呼ばれる、均衡概念に想到する瞬間を描いたシーンがあります。(おそらくは、映画のためにつくられたフィクションでしょう)

 

この中で、ラッセル・クロウ演じるジョン・ナッシュは、酒場における女性をめぐる駆け引きについて思い巡らす中で「アダム・スミスは間違っていたんだ」と、経済学における市場均衡の概念とは異なるナッシュ均衡のアイデアを思いつきます。

 

アダム・スミスは、市場に任せると、各人が自己の利益を追求することが、ある種の効率的な状況を生み出すことを主張します。現代の経済学の用語で、「パレート効率(最適)」と呼ばれる状態です。

 

パレート効率は、誰かの満足度を上げるためには、誰かの満足度を下げなければならないような状況を指します。ゲームで言えば、利得がうまいぐあいに配分されていて、無駄がない状態であるといえます。

 

このような入門的な経済学では、各人の行動は各人の利得(効用・利潤)のみに影響を与える状況を考えます。各主体は独立して意思決定し、行動します。各主体は非常に小さい存在であり、彼らの意思決定や行動は他者に影響を与えないような状況を想定しているわけです。(あなたがパンを1個食べても、それが誰かの消費を妨げることはないような状態を想像してください。)また、1個食べたくらいでは、価格に与える影響も皆無に等しいでしょう。これはプライステイカーの仮定と呼ばれます。

 

つづきます