脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

映画「ビューティフル・マインド」の中で・・・(3)

 

もう少しだけつづけます。

 

ちなみにゲーム理論の入門的な講義で取り上げられる(同時手番の)ゲームは、誰かの戦略が誰かの戦略に制約をかけることはありません。たとえば、じゃんけんで片方が「グー」をとったら、もう片方は「パー」をとれない、などということはありません。

 

しかし、アドバンストな経済学では、誰かの行動が別の誰かの行動を妨げるような状況も考えます。たとえば、誰かがある食料品を買い占めたら、別の誰かがそれを買うことができなくなってしまう、というような状況です。このようなセッティングのもとで、市場の様子をゲーム的に記述すると、そのゲームの均衡点として市場均衡が導かれます。これは、ナッシュ均衡の一般化になっているので、一般化されたナッシュ均衡(Generalized Nash Equilibrium)と呼ばれます。そもそもゲーム的な要素のない市場がゲーム理論の手法で分析できるというのが面白いですね。(ちなみにモデルの詳細は…はるかかなたの遠い昔に忘れてしまいました。あしからず。)

 

経済学の要請から生まれた(位相数学における)角谷の不動点定理が、(入門的な)経済学では扱わないようなゲーム的状況におけるナッシュ均衡の存在の証明に使われ、経済学を自然に拡張したところにゲーム的な状況が現れて、ゲーム理論の均衡概念が拡張される形で市場均衡の存在が示され・・・という、経済学とゲーム理論の交流が興味深いところです。