訳語について(4)
アクセルロッドによる研究が契機となって、進化ゲーム理論の研究も盛んになりました。
進化論の用語でも、「Natural selection」は、以前は「自然淘汰」と翻訳されていましたが、今ではめっきり聞かなくなり、「自然選択」というよりニュートラルなコトバに置き換えられました。
「自然淘汰」というコトバは、環境に適応できなかった個体なり種なりが、「淘汰されてしまう」という価値観を含んでいます。
「自然選択」というコトバは、個体なり種なりが与えられた環境や環境の変化に対応して、生き残るか否かについてだけ言及しているわけですから、「自然淘汰」のような価値観は含まれていません。よりニュートラルな用語だと言えましょう。
ごちゃごちゃ書いてしまいましたが、科学的な用語の翻訳にあたっては、なるべく、主観や価値観を排して、中立的なコトバを充てるのが一般的であると言えそうです。