幸せは社会的ネットワークをとおして拡散する(1)
感情が直接に周囲の人に影響を与えることは知られていましたが、社会的なネットワークを通して幸福(happiness)がどのように広がっていくかは未知の問題でした。
FowlerとChristakisは、Framingham Heart Studyのデータを用いて、この問題を検証しました。
もともと、Framingham Heart Studyは心臓病のコホート研究用に1948年にはじまりましたが、1971年と2002年にオリジナルの研究の子どもと孫も対象にして、調査が続けられました。これにより、親子3代にわたる関係性も調べることが可能となりました。地域研究ですので、調査対象者の人間関係や、住んでいる場所から居住地の距離などを調べることもできました。
研究の中では、米国国立精神保健研究所(NIMH)が作成したCenter for Epidemiological Studies depression scale (CES-D) の中の下記4項目を幸福度のデータとしました。
下記の4つの感情を、調査実施時の「過去1週間の中でどれくらい経験したか」を調べます。
「将来に希望を感じた」“I felt hopeful about the future,”
「ハッピーだった」“I was happy,”
「生活を楽しんだ」“I enjoyed life,”
「自分は他の人と同じ程度に能力があると感じた」“I felt that I was just as good as other people.” (※注)
4問あるので、各3点満点、計12点満点で「幸福度(happiness)」を評価します。得点の付け方は下記のとおりです。
0点=まれかまったくない(週に1日未満)
1点=わずかにあった(週1−2日)
2点=まあまああった(週3−4日)
3点=とても、あるいはいつもあった(週5−7日)
この幸福度が、社会的な関係の近さや、住む場所の距離によって、他者にどう影響をおよぼすかが調べられました。
つづきます。
注:
web上での翻訳数件を参考に訳しました。
サクセスベル社の日本語版がどのようになっているのか知りたいところです
http://www.saccess55.co.jp/kobetu/detail/ces-d.html
参考文献:
Fowler, J. H., & Christakis, N. A. (2008). Dynamic spread of happiness in a large social network: longitudinal analysis over 20 years in the Framingham Heart Study. Bmj, 337, a2338.