ベストの追求は、幸福度を下げてしまうこともある
世の中には、maximizers(最大化を目指すヒト)とsatisficers(満足化を目指すヒト)の2種類の人間がいます。
Maximizersは、満足の最大化を目指すヒトです。ショッピングの際に、自分の選択肢をくまなく比較して、自分にとって最も高い満足度をもたらしてくれる商品を購入しようとするヒトがmaximizerです。
Satisficersは、満足が高くなることは追求しますが、最大化までは目指さないようなヒトです。ある一定度の満足度をもたらしてくれる商品が買えればそれで満足だ、と思うようなヒトがsatisficerです。
11の大学に通う学生に対し、最終年度に「Maximizer傾向」を調べる質問調査を行い、その後、どのような職業に就いたか、どのくらいその仕事に満足しているか、などを調べました。
Maximizer傾向を調べる質問項目の例は、下記のとおりです。
「クルマの中でラジオを聴いているときに、聴いている音楽に比較的満足していたとしても、他にもっとよい音楽が流れていないかを探すために他のラジオチャンネルをよくチェックすることがある」
"When I am in the car listening to the radio, I often check other stations to see if something better is playing, even if I am relatively satisfied with what I’m listening to’’
「ショッピングのときに、本当に好きな洋服を見つけるのに苦労する」
‘‘When shopping, I have a hard time finding clothes that I really love’’
これらの質問に対して、「1:まったく同意しない」から「9:強く同意する」まで、レーティングを行います。
その後追跡調査をおこなったところ、マキシマイザー傾向の高い調査参加者は、そうでない参加者に比べて、20%高い給料を得ていました。(事前調査をしっかりとおこなって仕事に就いたのでしょう。)
しかし、仕事に満足しているかどうかについては、サティスファイサーより低い評価にとどまりました。
ベストを追求してしまうと、目の前のモノ、自分の置かれた境遇、取り組んでいること・・・などに満足しにくくなってしまうであろうことは用意に想像がつきます。
ベストを追求せず、そこそこで満足するのが幸せの秘訣なのかもしれません。
参考文献:
Iyengar, S. S., Wells, R. E., & Schwartz, B. (2006). Doing better but feeling worse looking for the “best” job undermines satisfaction. Psychological Science, 17(2), 143-150.