脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

没頭感と幸福感

体調を崩して倒れており、更新を忘れていました。

記事の更新を楽しみにされているみなさん、すみませんでした。

2日分、更新しました。お楽しみくださいませ。

 

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作家の村上春樹さんが次のようなことを語ったそうです。

「集中力は、僕の人生で一番幸福をもたらしてくれるものの一つですね。 集中できない人って、そんなに幸せではないでしょう。 僕は、頭の回転は速くない。でも、一度何かに集中すると、何年もそれをやります。・・・」

 

何かに没頭して集中し、時間の流れも感じなくなる経験を、ポジティブ心理学を研究するチクセントミハイは「フロー(flow)」状態と名づけました。

フロー状態になると、人は幸福感や満足感などポジティブな感情を経験しやすくなると言われています。

 

日本人を対象とした研究で、「没頭志向性」と「人生満足尺度(SWLS)」との関連性を調べた研究があります。

 

研究では、没頭志向性の測定のために、「幸せへの3志向性尺度(orientations to happiness)」を翻訳し、没頭に関連する項目を利用しました。

 

幸福感(人生満足度)はSWLSを用いました。

SWLSは以前のエントリーで取り上げました

URL:

http://neuroscience.hatenablog.jp/entry/2016/01/06/131030

 

 

没頭志向性の調査項目を下記に引用します。

 

没頭志向性

・何に対しても、常に集中して取り組む。

・何をしていても、時間はすぐに経ってしまう。

・いつも自分の力が試されるような状況を好む。

・身の回りでおこったことで気が散ることはめったにない。

・どうするかを決めるときに、それが他の人にとって望ましいことかを必ず考える。

・仕事をしていても遊んでいても、たいてい“我を忘れた”状態で,自分を意識していない。

 

これらの項目について、「1:全然そうではない」から「5:まったくそのとおりだ」までの5件法で回答し、合計点が没頭志向性の得点になります。

 

研究では、477人のデータを用いて、没頭志向性とSWLSの間に0.26(P<0.01)の相関を認めています。

 

日本人を対象としたこの研究からも、没頭できることと幸福感の間には関係性があると言えそうです。

 

 

参考文献:

熊野道子. (2011). 日本人における幸せへの 3 志向性── 快楽・意味・没頭志向性──. 心理学研究, 81(6), 619-624.

 

参考URL:

【世界に誇れる日本人】小説家・村上春樹 ~小説家に必要な資質~

http://matome.naver.jp/odai/2133612990889653101