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脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

笑顔でハッピーに(1)

 

悲しいから泣く(キャノン=バード説)のか、泣くから悲しい(ジェームズ=ランゲ説)のかは古くからある感情研究における2大仮説です。

 

今回は、幸福度研究との関連で、身体から感情への影響(ジェームズ=ランゲ説)に関する古典的研究(古典的方法)について、ご紹介したいと思います。

 

 

Strackらは、身体が感情に与える影響を調べるために「ペン」(直径12mm)を利用しました。ペンを口にくわえさせることで使う筋肉を変え、感情を誘導しようとしたのです。

 

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ペンを「唇で挟む」ようにくわえると口をすぼめたような表情になります。「口輪筋」が収縮し、笑顔のときに利用される「大頬骨筋」や「笑筋」が動くのを防ぎます。これにより気分をネガティブな方向性に誘導されることを狙います。

 

ペンを「歯で挟む」ようにくわえると笑顔になります。この場合は「大頬骨筋」や「笑筋」が動くようになります。これにより気分がポジティブな方向性に誘導されることを狙います。

 

コントロール条件は、利き手ではない手でペンを持つことです。

 

 

ちなみに、ペンを口にくわえるのはかなり不自然な行為です。

特に実験室では不自然さが際立ちます。

 

研究者たちは、参加者が到着後、ヒトが身体のさまざまな部位を使ってモノを使うという行動に興味があるのだと説明します。参加者に、手の不自由な人が口にペンをくわえたり、口で電話を利用している写真を見せて、このような人たちにとっては、体のさまざまな部分を使って日常のさまざまな行為を実行することは、クオリティ・オブ・ライフに直結すると説明します。このような研究には意義があることを強調し、ゆくゆく行おうと計画している本格的な実験の準備段階として、パイロット実験に参加してもらったのだ、という説明をします。

 

 

これにより、口でペンをくわえたり、普段文字を書くのに使わない手(利き手ではない手)を利用してペンを使う理由を本来の研究上の意図(=表情筋のコントロール)とは異なる方向に誘導したのでした。

 

つづきます。

 

 

参考文献:

Strack, F., Martin, L. L., & Stepper, S. (1988). Inhibiting and facilitating conditions of the human smile: a nonobtrusive test of the facial feedback hypothesis. Journal of personality and social psychology, 54(5), 768.