青色光の眠気低減効果について:脳波(EEG)研究とメラトニン分泌量の計測
青色光に関する研究の紹介。短めの内容を2本立てでお届けします。
「青色光(波長460nm)で、注意力が向上、眠気が低減する(EEG研究)」
青色光は眠気を覚ます効果があると言われています。
これに関して、実際に調査参加者に青色光を浴びせて効果を調べた研究があります。
460nmの光を6時間半照射すると、555nmの光を同じ時間照射したグループに比べ、眠気が抑えられ、音を聞き分ける課題を早く回答できるようになりました(=反応時間が短くなった=注意力が向上した)。
また、0.5-5.5 Hzのデルタ波・シータ波が減りました。このことは眠気が少なくなったことを意味しています。
555nm(緑色)の光はもっとも明るく感じられる光ですが、それよりも青色光の方が効果があったわけです。
青色光は、眠気を抑えることで、注意力を高める効果のあることが示唆されました。
参考文献:
Lockley, S. W., Evans, E. E., Scheer, F. A. J. L., Brainard, G. C., Czeisler, C. A., & Aeschbach, D. (2006). Short-wavelength sensitivity for the direct effects of light on alertness, vigilance, and the waking electroencephalogram in humans. SLEEP-NEW YORK THEN WESTCHESTER-, 29(2), 161.
「青色光はメラトニンの分泌量を減らす(唾液測定研究)」
夜の時間帯に強い光を浴びると、眠気が抑えられてしまいます。
これはメラトニンの分泌が抑制されることで起きると考えられています。
メラトニンは眠気を誘発するホルモンです。
タブレット使用によるメラトニン抑制効果を、唾液を採取することで調べた研究があります。
この研究ではiPad(タブレット)だけを使うよりも青色LEDのバックライトを併用することで、より強くメラトニンの分泌が抑制されることがわかりました。
すなわち、光には睡眠を妨げる効果がある(言い換えると、光は眠気を抑える効果がある)と言えそうです。
Wood, B., Rea, M. S., Plitnick, B., & Figueiro, M. G. (2013). Light level and duration of exposure determine the impact of self-luminous tablets on melatonin suppression. Applied ergonomics, 44(2), 237-240.