すこし長めのひとりごと(2)
続きです。
また、心理学研究の再現性は5割位という話題があります(注2)が、これは統計的な観点(注3)と手続き上の観点から考える必要があると思います(たとえば、参加者は教示をきちんと理解していたのか、ある課題に取り組むのにどのような方略を用いたかが個人間であるいは個人内でもばらつきや変化・ゆらぎはなかったのか、あるいはそういうものがあったとして実験結果にどのような影響を与え得たのか/得なかったのか、など)。
統計的に考えるときには(たとえば回帰分析の誤差項のように)「無知の部分」を実験上避けがたい測定誤差も含めてノイズとして全体的に扱ってしまうわけですが、ノイズの中身を明らかにすることで、データが意味するところがより明確になることがあると思うわけです(これまた当たり前のことですが)。ひょっとしたら再現性がないように見えたデータも、教示を「きちんと」理解していた参加者とそうでない参加者に分けてやると、前者では再現できていた、なんてことが出てくることもあるのではないでしょうか。
ちなみにN数に関しては、Natureの投稿マニュアルの中には
Sample size calculation (or justification) is given
とありますので、近年ではなかなか少数サンプルの研究は掲載されづらいのかもしれません。
研究は適切なN数でおこなうべし、ということですね。
注2:
以前のエントリーなど参照ください
「心理学の研究の再現性はどれくらい?」
http://neuroscience.hatenablog.jp/entry/2015/07/15/210108
注3:
「逆引き出し問題」とでも呼ぶべき、ある種のバイアスのせいで、再現性が低くなっている面があるのではないかと思うのですが、これについては、まだ自分の考えが固まっていないので今は中途半端な状態です。改めて論じることがあるかもしれません。
つづきます。