修行の効果:デフォルトモードネットワークの活動が低下する(3)
【デフォルト・モード・ネットワークについて】
DMNに含まれる脳領域:
内側前頭皮質、楔前部、後部帯状皮質、下頭頂小葉、(海馬を含む)内側側頭葉(ないそくそくとうよう)、そして外側側頭皮質(がいそくそくとうひしつ)
DMNは、自己参照評価、自伝的記憶、予測、計画、mind-wonderingなど、内面に向かう思考プロセス(internally oriented thought processes)に関与しています。
なお、アルツハイマー型認知症の人は、認知症の原因物質と考えられているベータアミロイドの沈着がDMNに起こることなどが知られています。このことから、DMNは「自己」を司る重要な領域であると考えられています。
研究の詳細:
【刺激と実験デザイン】
- くり返し発話(Repetitive Speech(“RS”)):「いち」(“one”=ヘブライ語で “Echad”)という単語を自分のペースで黙って(silently)くり返し発話する。
- 言語流暢性課題(Verbal Fluency(“VF”)):ランダムに選ばれた特定の文字から始まる単語をいくつも黙って生成する(アタマの中で回答する)。単語生成(word generation)は、自分のペースで、発話せずに実施する。
RS、VFともに5ブロック(各21秒間)あり、間に音を立てない安静(“Rest”)期間(12秒間)を挟んだ。
RS条件は合計8.25分間つづいた。
5つのRSブロック(各21秒間)は、2つの他の条件(音弁別運動課題と思考コントロール条件、全部で各21秒間✕5ブロック)と交互に現れた。すべてのブロックには、Rest条件が混ぜられた。
VF条件は合計11分間つづいた。
5つのVFブロック(各21秒間)は、3つの他の条件(抽象的思考課題、想像課題、文章結合条件(=言語関連領野を調べるために用いた)、各21秒間✕5ブロック)
MRIスキャナーの中はノイズがあるので、参加者たちにはイヤフォンをしてもらい、ノイズを抑えた。セッション中、参加者は目を閉じていた。
RS条件の指示は「声に出さずに、心地よい(comfortableな)ペースでoneと唱えなさい」というものである。
スキャナーの中で「number one」という音声の指示(1050ミリ秒)があると、参加者はRS(くり返し発話)をおこなう。
VF条件の指示は「与えられた文字から始まる単語を、つづけて、声を出さずに生成(generate)しなさい」というものである。
スキャナーの中では「a/b/g/r/n」のいずれかが音声で流れる(それぞれ、500, 350, 650, 500, 730ミリ秒)ので、それを手がかりとして、単語を生成する。
間に挟まれるRest期間は、「可能な限り安静にしてください(Rest as best as you can)」と音声で指示される(620ミリ秒)。
(つづきます)