10分間のペダル漕ぎ(低強度の有酸素運動)が認知機能を高める
多くの研究が運動の認知機能改善効果を明らかにしてきました。
認知症予防や気分障害改善など、さまざまな効能が期待されます。
しかし、1日何十分、週何回以上、という規則を守るのはなかなか大変なもの。
もっと短い運動時間で手軽に認知機能改善効果を得られないものでしょうか?
筑波大学の征矢英昭教授らのグループは、10分間のペダル漕ぎが背外側前頭前皮質の血流量を高め、認知機能を改善することをつきとめました。
参加者ごとに30%の運動強度に設定したペダル漕ぎを10分間おこなってもらい、その前後で認知課題に取り組んでもらいます。
つまり「低」強度の運動で、認知機能改善効果があるかを検証したのです。
認知機能は、ストループ課題で測ります。
さまざまな色のフォントで書かれた色名について、色名を無視して、フォントの色が何であるかを回答する(判断する)課題がストループ課題です。フォントの色と色名が異なっていると判断に時間がかかり反応時間が長くなってしまいます。
(例:赤いフォントで「あお」と書いてあると、文字情報の「あお」に引かれて、「青」と答えそうになるのを抑えて、文字についている色である「赤」を回答しなければならないので、反応時間が長くなります)
研究チームは、ボタン押しでストループ課題ができるよう課題を工夫しました。
10分間の運動の前後でストループ課題に取り組むグループと、安静の前後でストループ課題に取り組むグループを用意して実験をおこなったところ、運動グループにおいて、ストループ課題の成績の向上(=反応時間の短縮)が見られ、fNIRS(機能的近赤外線分光法)で測られた背外側前頭前皮質の酸素化ヘモグロビンの集中度が高まったそうです。
10分間の軽い有酸素運動なら多くの人が続けられるかもしれませんね。
あとは、継続的な効果がどのくらい期待できるのか知りたいところです。
詳しくは筑波大学のプレスリリースをご参照ください。
参考文献:
Byun, K., Hyodo, K., Suwabe, K., Ochi, G., Sakairi, Y., Kato, M., ... & Soya, H. (2014). Positive effect of acute mild exercise on executive function via arousal-related prefrontal activations: an fNIRS study. Neuroimage, 98, 336-345.