プラシーボはプラシーボと明示しても効く
プラシーボを「プラシーボですよ」と明かした上で与えてもプラシーボ効果は生じるのでしょうか?ハーバード・メディカル・スクールの研究者たちがこの問題に取り組みました。参加者は偏頭痛を持つ66名の患者です。参加者たちには、偏頭痛が起きた時に服用する薬が6種類与えられ、それらがどれくらい頭痛を軽減する効果があったかを記録するように求めました。
6種類の薬とは、
「プラシーボである」とラベル付けされた、プラシーボと偏頭痛薬(Maxalt)
「Maxaltかプラシーボである」とラベル付けされた、プラシーボと偏頭痛薬(Maxalt)
「Maxaltである」とラベル付けされた、プラシーボと偏頭痛薬(Maxalt)
の6種類です。
これらの頭痛軽減効果を調べたところ、下記のような結果が得られました。
NTはno treatment(処置なし)条件
Pは「Placebo(プラシーボ)」ラベル付け条件
Uは「Unspecific」ラベル付け条件
Mは「Maxalt」ラベル付け条件
です。
図の縦軸は、頭痛が起きてから30分後の頭痛の強度のスコアをベースラインとし、そのときに薬を飲み、頭痛発生から2時間半後に痛みが強まったか、弱まったかをパーセンテージで表しています。
図中のエラーバーは95%信頼区間を表しています。
この結果、プラシーボは「プラシーボ」とラベル付けして与えてもプラシーボ効果を持つことがわかります。
なお、本当の薬は「プラシーボである」というラベル付けをするとやや効果が減弱されるようですね。
しかし、プラシーボはプラシーボであるとわかっていても効果があるというのは、なかなか興味深い結果です。
参考文献(図の引用元):
Kam-Hansen, S., Jakubowski, M., Kelley, J. M., Kirsch, I., Hoaglin, D. C., Kaptchuk, T. J., & Burstein, R. (2014). Altered placebo and drug labeling changes the outcome of episodic migraine attacks. Science translational medicine, 6(218), 218ra5-218ra5.
この文献、他のサイトでも紹介されていました。
参考URL:
「たとえ偽薬でも効果大 服用する片頭痛薬が何なのかわかっていると頭痛は大幅に改善される:米医療機関調査」(執筆者:さえきそうすけ氏)
http://irorio.jp/sousuke/20140109/100904/