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脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

「興味」と「好み」の違いを瞳孔径の反応から調べる

ヘスによる古典的な研究では、瞳孔径は「興味」のあるモノに対しては広がり、興味のないものに対しては狭まるとされています。

その後、瞳孔径については数多くの研究が行われ、画像の明るさや色合いなど様々な要因が瞳孔径の変動に影響をおよぼすことが知られています。

 

実験(調査)で呈示した刺激(商品画像etc.)に対する調査参加者の「興味度」や「好み」を調べることを目的として、学術的な研究や商業的な調査が行われることがあります。調査内容にもよりますが、それらの質問項目について、主観評定で5段階や7段階などのリッカート尺度で調べることが一般的と思われます。

 

なお、「興味」と「好み」を似たような指標として扱う方もいますが、「興味はあるが好みはない」といったように、両者は独立していると考えられます。

 

中森ら(2011)は、顔画像に対する「興味」と「好み」を評定させ、顔画像を見ている際の瞳孔径の変化から、両者に対する生体反応の分離を試みています。

 

15秒間の固視点の呈示のあと、10秒間の顔画像の呈示を行います。

その後、参加者には、各顔画像に対する「興味度」と「好み」を5件法で評定してもらいます。

瞳孔径のデータについては、固視点を見ている15秒間のうち最後の5秒間の瞳孔径の平均値をベースラインとして、顔画像呈示中の10秒間の変動割合を求めます。

 

興味が高い/低いで分けたときの瞳孔径の時系列変化には違いはありませんでした。どちらのケースも、瞳孔径が拡大していく傾向がみられました。

一方、好意度が高い/低いで分けたときには、好みの顔画像について瞳孔径が広がらないことが明らかになりました。

著者らは、興「奮」度の高い画像に対しては、瞳孔径が開くという先行研究があることから、「好み」の画像をみることは、その逆の「鎮静」に似ているのではないかとディスカッションしています。

 

生体計測の立場から「興味」と「好み」の分離を試みた研究の紹介でした。詳細は論文をご覧ください。

 

 

【参考文献】

中森志穂, 水谷奈那美, & 山中敏正. (2011). 顔画像に対する好みは, 瞳孔径にどう反映されるのか. 日本感性工学会論文誌, 10(3), 321-326.