脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ギリシャの債務不履行問題に思う

ギリシャが債務不履行の瀬戸際に立たされています。 EUのギリシャへの金融支援が6月30日に打ち切られる予定となり、国際通貨基金(IMF)など、ギリシャへの財政支援を行ってきた金融機関への債務の返済が不可能であると見られています。 すでにギリシャ国内で…

頭部移植手術は可能か?(2)

前回のエントリーで、サルを対象に頭部移植手術は行われた実例がある、と書きました。 実際の映像も記録がありますが、ショックを受ける方もいるかもしれませんのでリンクは貼らないでおこうと思います。 YouTubeなどで「Head Transplant」をキーワードにし…

頭部移植手術は可能か?(1)

6月26日に、たいへん気になるニュースが配信されていました。 脊髄性筋萎縮症に苦しむロシア人男性が、自分の頭部を脳死したドナーの体と結合する手術を受ける決意をし、手術を担当する予定のイタリア人医師が手術費用を集めているという内容でした。100人の…

視力低下を引き起こす要因(2)

現代人の生活環境には、目を悪くする要因が多々あります。読書、テレビ、ゲーム、パソコン、タブレット、室内に引きこもること・・・。これだけ目を酷使していれば、目が悪くなって当然です。 しかし、日本ではほとんどの人が近視のせいか、眼に悪いさまざま…

視力低下を起こす要因(1)

昨年の春、メガネを買い直したのですが、実はその数カ月後にはすでに視力の低下を自覚していました。運動をしているときに、以前の度があっていなかったときと同じような見え方だったからです。 「ああ、眼軸が伸びてしまったか…」とそのときすでに後悔をし…

視力低下時に起きていること

つい先日、健康診断を受けてきました。 まだ正式な結果通知は届いていないのですが、その場でわかった視力検査の結果でショックを受けました。なんと、メガネをかけた状態の矯正視力にもかかわらず、左右の視力が0.3と0.4しかなかったのです。 実は新しいメ…

ワインの味がわかると言えるためには:解答編

ワインのブラインドテストの判別能力がまぐれ当りではないというためには、3種類のワインの判別では不十分で、4種類のワインを判別しなければなりません。それはなぜでしょう?という問題について考えていました。 (ここまでの2エントリーは、その問題の…

統計的仮説検定の考え方(2)

前エントリーのつづきです。 統計的仮説検定では、なぜ示したい仮説をダイレクトに検証するのではなく、わざわざ帰無仮説なるものを設定し、それを棄却することによってもともとの仮説を採用するという回りくどい手順を踏むのでしょうか? その理由を考察す…

統計的仮説検定の考え方(1)

さて、前エントリーでは、ある人がワインの味を見極める能力を持つか否かの判定をどうやって行うかに関する問題を提出しました。 これを考察するために必要なのが統計的仮説検定の考え方です。 統計的仮説検定は、その名のとおり、統計学的な手法を用いて、…

ワインの味がわかると言えるには・・・

ブラインド・テイスティングはワインのソムリエのコンテストにおける花型競技のひとつだそうです。 ワインのブラインド・テイスティングでは、産地や品種、ヴィンテージなど、複数の項目を的中させることが目的になるのですが、ここではちょっと簡略化して、…

推論(5)

私たちは日々、意識的・無意識的にさまざまな推論を行っているわけですが、論理的推論については、あまり得意ではない面のあることがわかりました。4枚カード問題に見られるように、論理学の訓練を積んだり、現実問題に近い状況に置き換えることで正答率が上…

ひとりごと

今年の春はウドを食べそこねてしまったな、と残念に思っていたのですが、なんとつい先日、近所の八百屋さんの陳列棚で「山ウド」を発見しました。 舞茸を見つけたヒトが舞って喜ぶがごとく、内心欣喜雀躍、天にも昇る気持ちだったので小躍りでもしようかと思…

推論(4)

推論に関する問題は、すべて日常的なシチュエーションに置き換えれば、理解度が上がり、誤答は減るといえるのでしょうか? この問題について考えるため、まずは下記質問を見てください。 質問: リンダは31歳、独身で、社交的かつ明朗な性格の持ち主です。 …

推論(3)

先に見たように、古代西洋の哲学者も、科学の発達により生み出された様々なハイテク製品に囲まれて過ごしている現代人も、どうやら論理的思考はあまり得意ではないようです。 純粋に論理学的な三段論法の正しい運用もさることながら、4枚カード問題のような…

推論(2)

古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、哲学的議論における詭弁や屁理屈など非論理的な主張を排除するため、論理学を構築しました。正しい三段論法の運用法をはじめ、論理的に妥当な推論とは何かを追究し、ひとつの思考体系としてまとめ上げたのです。 たと…

推論(1)

わたしたち人間は日々の暮らしの中で実に多種多様な思考や推論を行っています。誰かと会って話をして意思の疎通を図るという日常的な行為も、考えてみれば複雑極まりない情報処理の賜であることに気づきます。会話の際、私たちは話者に向かい、相手が発する…

二重課題(dual task)

リチャード・ファインマンは1965年に朝永振一郎やジュリアン・シュウィンガーとノーベル物理学賞を受賞した世界的に有名な物理学者です。「ご冗談でしょう、ファインマンさん」をはじめとした軽妙洒脱な科学エッセイの書き手として、その名前をご存知の方も…

乳児(infant)の認知をしらべる

心理学や脳科学では、人の心に「主観」、「行動」、「生理」の3つの方向からアプローチする、というお話を以前しました。 人が何を考え、どう感じているのかを詳細に知るためには、参加者の言語報告に頼る必要があります。つまり主観報告は重要な情報源にな…

共同注意

今朝は雨でしたね。そろそろ東京も梅雨入りでしょうか。 昨日はよい天気で心地よかったのですが、すっきりとしたさわやかな晴れ空は、しばらくの間見納めかもしれません。 そんな昨日のことですが、会社の近くを歩いていたら、道端で赤ちゃんを抱っこしてい…

ひとりごと

まだイントロ感が強いですが、じわじわと面白い記事を増やしていければと思っています。 それにしてももう6月ですね。時間が経つのは早いですね。 みなさんは春を満喫されましたでしょうか? 僕はこの春はタケノコとウドを食べそこねてしまいました。 楽しみ…

実験計画の立案について(2)

その4:課題を決める データをとるためには、適切な課題を準備する必要があります。 今回の例では、睡眠時間が課題成績に及ぼす影響を調べることなので、睡眠が削られると成績が悪くなるような課題が適していると考えられます。 これまでの研究からは、睡眠…

実験計画の立案について(1)

心理学や脳科学では、ある要因の効果を定量的に検証することが調査・研究の典型的なケースとして挙げられます。 このような調査を行う際には適切な実験計画の策定が欠かせません。 ここでは、睡眠時間が作業効率に影響を与えるかどうかを検証するという架空…