2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧
最近は、大学の講義などでもノートPCを持ち込んで、そこにメモをとる学生さんもチラホラいるようです。 しかし、メモは、ノートPCではなく、ノートに手書きでとった方が、理解力も上がるし、記憶に定着しやすいことが数多くの心理学研究から明らかにされてい…
まず、(上に挙げた問題のような解釈を挟まない)純粋に数字同士のかけ算を考える場合、 「3✕5」と「5✕3」がどちらも同じ答えである「15」という数字を導いてくれることにこそ意味があります。 かけ算の可換性(交換可能性)という性質ですね。 (ちなみ…
(もう、何年も前からtwitterなどのメディアを中心としてネット界隈をにぎわせているネタなのですが、) 小学校の算数教育の現場で、かけ算には順序があり、順序を逆に書いてしまうと間違いだと判定されるという教育がまかり通っているらしいのです。 この問…
世の中に「1万時間の法則」と呼ばれる法則があります。 ひとつの物事に1万時間、打ち込んで没頭すれば、その分野でプロフェッショナルなレベルまで上達することができるという経験法則です。 プログラマー、ピアニスト、ミュージシャン、スポーツ選手・・…
昨日のエントリーですが、説明不足があることに気づきました。 期待効用理論では、効用関数を用いてくじの期待効用を以下のように計算します。 1%で10000円、99%で0円もらえるくじであるなら、 確実に10000円もらえるときの効用に1%をかけたものと、確実に0…
(前回のエントリーからの続きです) どうでしょうか? みなさんは、どうお考えになりましたでしょうか? 実は、期待効用理論の立場からは、上記に挙げたいずれの人たちも、それぞれに「合理的」でありうるのです。 宝くじを買わないヒトは、「リスク回避的…
さて、3日前のエントリーで発した問いに立ち返りましょう。 「(期待値が販売額を下回る)宝くじを買う人は非合理的なのか?」という問いでした。 期待値原理の立場からみれば、(賞金の期待値が販売額より小さい)宝くじを買うという行為は非合理的と解釈…
サンクトペテルブルクのパラドックスに対して、ダニエル・ベルヌーイはある解決策を提示しました。現代のコトバで言えば「ヒトは期待値原理によって行動をするのではなく、期待効用原理にしたがって行動する」というものです。 くじの例で言えば、期待賞金額…
ヒトは期待値原理にしたがってくじを選ぶわけではない。 このことを明らかにしたのが、サンクトペテルブルクのパラドックスです。 早速ですが、つぎのようなくじについて考えてください。 みなさんなら、このくじの購入にいくらまでであれば支払ってもよいと…
みなさんは宝くじを買うことは/買ったことはありますか? 宝くじの払戻率は5割程度ですから、200円の宝くじを買うたびに、期待値では100円の損をする計算になります。 ちなみに我が国における宝くじの売上金額はおおよそ1兆円だそうです。ということは毎年、…
昨日のエントリーの続きです。 受け入れ率が低いとき、すなわち、拒否率が高いときは前島(ぜんとう、 anterior insula、島皮質前部)の活動が高まりました。島皮質の前部は、痛みの情報処理に関連していることが知られています。 また、提案を受け入れたと…
これまでに紹介しましたように、最終提案ゲームをヒトにプレイさせると、応答者は不公平な提案を拒否する傾向があります。実験によりますが、3割以下の提案は、おおよそ5割程度が拒否される結果に終わります。 さて、応答者が不公平な提案を拒否するとき、脳…
同内容の実験をヒトに対しても行うと、固定案の拒否率はチンパンジーの実験結果とは大きく異なってきます。 下図は、代替案が5/5、2/8、8/2、10/2のときに、固定案8/2が応答者によって拒絶された割合をグラフにしたものです。白い棒グラフがヒトで実験を行っ…
さて、最終提案ゲームをチンパンジーにプレイしてもらうための環境が構築できました。 チンパンジーは実際にどのようなふるまいを見せてくれたのでしょうか? このゲームの実験の結果は下記の表の通りでした。 代替案が5/5(=両者均等に分ける)のときは、…
チンパンジーに最終提案ゲームをしてもらう場合、コトバで詳しい教示を行うことは難しいでしょう。10単位のエサを提案者役のチンパンジーに渡して、「自分の取り分と相手の取り分に分けて、応答者に提案しなさい。応答者が提案を受け入れてくれれば、あなた…
最終提案ゲームを生身の人間にプレイさせると、提案者も応答者も不平等を回避するかのような行動をとるということがわかりました。一方、自閉症のヒトに最終提案ゲームをプレイさせると、金額の多寡のみによってゲームが利得が決まっているかのような行動を…
自閉症患者に最終提案ゲームをプレイしてもらうとどうなるか。 昨日は大人のケースを紹介しました。 子どもの場合はどうでしょうか? 最終提案ゲームの最初のプレイの際には、大人の場合と同様に、子どもの自閉症患者も30%近くが相手に対して0単位の提案をし…
昨日のエントリーでは、大学生を典型とした普通の参加者に最終提案ゲームをプレイしてもらうと、金額の分配について極端な不公平が生じないような、不平等回避的な結果になる割合が比較的高いという事実を紹介しました。 提案者は他者の感情を慮り、相手の機…
昨日は400を超えるアクセスをいただきました。 読んでくださったみなさま、ありがとうございます。 本ブログは「はてなブログ」のもっともシンプルなプランで運営しているため、 どこから、どのような方々にアクセスいただいたのかなどは わからないのですが…
さて、この最終提案ゲームを実際の生身の人間にプレイしてもらうとどのような結果になるでしょうか?つまり、参加者を募って、実験を行ってみるわけです。参加者はどのような行動をとるでしょうか? 実験では、実験者が参加者にゲームのルールを説明して十分…
最終提案ゲームにおけるそれぞれの参加者(プレイヤー)の最善手について考えます。 まず、応答者がどう考えるかから見ていきましょう。提案者の提案を受け入れることによって実現できるか、拒否することによって破棄できるかの権限を握っているのは応答者だ…
Ultimatum gameは、「最後通牒ゲーム」もしくは「最終提案ゲーム」と翻訳されます。ゲーム理論で取り扱う「ゲーム」の中で、手番のあるゲームの典型例です。 ゲームの参加者(プレイヤー)は2人。提案者(proposer)と応答者(受け手、responder)です。こ…
政治的にリベラルな人より保守的な人の方が幸福であることを示唆するこれまでの研究は、もっぱら自己申告による主観的幸福度のデータに依拠してきました。しかし、自己申告のデータには、回答者がどのくらい正直に申告してくれているかなど、さまざまな問題…
日々、膨大な量の情報が環境からもたらされますが、赤ちゃんは、どのような出来事が学ぶに足るものであり、どのような出来事を無視してよいかを判断するのでしょうか? 生後11ヵ月の乳児110名を対象にした実験で、予想を裏切るような意外性のある出来事が生…
頭皮上に1mA前後(2mA程度まで)の微弱な電流を流すことで、脳機能に影響をおよぼす経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct stimulation, tDCS)が、報酬系の活動の制御に使える可能性が出てきました。 tDCSが顔画像の魅力度判断に影響を及ぼしうるという…
(11/6のエントリーをアップロードし忘れていましたので、 2エントリー続けて公開いたします。失礼いたしました) さて、さまざまな効果の期待されるtDCSですが、果たして使用上の安全性は十分に担保されているのでしょうか?頭皮上に電流を流すことで、やけど…
近年、経頭蓋磁気刺激法(TMS)により、神経活動を増強・あるいは抑制して、どのような臨床的・認知的効果が現れるかを調べる研究が多数なされてきました。TMSは8の字型のコイルに電流を流すことで、磁場の変化を引き起こし、頭蓋を経て脳内の神経活動に影響…
母親が乳児に語りかけるときの、端的でいて、ゆっくりとした抑揚のきいた話し方のことをMotherese(マザリーズ)といいます。 これまで、マザリーズは、お母さんが意識的に、あるいは知らず知らずのうちに、赤ちゃんの言語発達を促すために、はっきりとわか…
昨日紹介した今野浩先生の本で面白かったところをご紹介します。 エピソード1 著者の今野先生は卒論のタイトルを「ゲーム理論に関する考察」とした。 フォン・ノイマン&モルゲンシュテルンの大著『ゲームの理論と経済行動』に取り組むも、数十ページでダウ…
10/28のエントリーで触れた、森口繁一教授(故人)の逸話を読んでみたいと思い、今野浩著「工学部ヒラノ教授と昭和のスーパー・エンジニア —森口繁一という天才— 」をざっと読みました。「この本の構成中に交通事故で亡くなったジョン・ナッシュ教授」という…