脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

オリバー・サックス氏が亡くなりました

先月の末のことですが、「レナードの朝」「妻を帽子とまちがえた男」などの著作で知られる神経科医、作家であったオリバー・サックス氏逝去のニュースが流れました。

 

 

 

「妻を帽子とまちがえた男」は、相貌失認、前向性健忘、身体失認、幻肢、サヴァン症候群など神経学、神経心理学的な話題がたくさん紹介されており、ついつい読みふけってしまう、興味深い本です。(それらの障害に悩まされている患者さんたちにとってはつらい経験なのだと思いますが、)読者はそれらの症状を通して、わたしたちの脳が普段おこなっている情報処理の精密さ巧みさに気付かされるのです。

 

レナードの朝」では、嗜眠性脳炎により昏睡状態に陥った患者たちに、パーキンソン病の治療薬であるL-ドーパを投与した試みについて、触れられています。

映画版では、車いすに座った意識がないように見える患者たちに向かってモノを投げると、患者が反射的にそれを手で取る様子が描かれていたと思うのですが、あれは本当なんでしょうか?(※注)

 

数々の著作によって多くの読者の神経科学への興味をかきたててくれたサックス氏の冥福をお祈りしたいと思います。

 

 

※注

某映像アップロードサイトに「レナードの朝」のスペイン語版がありました。

25分ごろの映像をご覧くださいませ。

 

www.youtube.com/watch?v=HC-9vw5gCTQ