高級ブランド車とお値打ちブランド車への脳反応:後編
(昨日のエントリーの続きです:
高級ブランド、実用車ブランド、よく知らないブランド、それぞれのクルマに乗っているところを想像したときの脳活動の違いをfMRIで調べた研究の結果です。)
高級車・スポーツカーのときは、よく知らないブランドのときと比べて、
内側前頭前皮質(medial prefrontal cortex, MPFC)がより強く活動しました。
内側前頭前皮質は、過去の研究で、社会的地位や自己関連処理に関わっていることが知られています。よって、前頭前皮質の活動は成功や名声に対するあこがれ、自己評価の向上や気分の高揚感に関連していると考えられます。
一方、実用車のときは、よく知らないブランドのときと比べて、
上前頭回(superior frontal gyrus)や前帯状皮質(anterior frontal gyrus, ACC)がより強く活動しました。
上前頭回は、高次認知機能、ワーキングメモリ、道徳的意思決定や道徳的判断に関与することが知られており、前帯状皮質は、認知制御と遅延報酬期待に関連して活動することが知られています。よって、これらの領域の活動は、実用車に対する冷静な認知的判断に関連していると考えられます。
高級車と実用車は異なる理由や判断によって支持され、それぞれ異なる神経機構によって担われている可能性のあることが脳機能イメージングによって明らかにされたわけです。
参考文献:
Schaefer, M., & Rotte, M. (2007). Thinking on luxury or pragmatic brand products: Brain responses to different categories of culturally based brands. Brain research, 1165, 98-104.