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脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

運動により認知課題の成績がアップする

日常的に運動をする多くの人は、健康増進やレクリエーション・気分転換のためにしているのではないかと思います。

運動をすると、頭がすっきりしたり気分がよくなったりするのを実感しますが、認知的なパフォーマンスに影響をおよぼすことはあるのでしょうか?

 

NIRS(近赤外線分光法)を用いた研究でこの点が検証されました。

 

参加者は、運動をするグループと、休憩をとるコントロールグループに分けられます。この前後で、ストループ課題の成績がどう変化するのか、課題に取り組んでいる際の脳の血流変化に違いは見られるのかを検証しました。

 

運動グループは、最大酸素摂取量が50%の中強度の運動(ペダルこぎ)を行います。中強度の運動をおこなう理由は、運動強度が低すぎても、高すぎても認知機能に影響を及ぼさないことが知られているためです。

 

運動グループは、ストループ課題1回目7.5分、運動10分、休憩15分、ストループ課題2回目7.5分というスケジュールで実験に参加しました。

一方、コントロールグループは、ストループ課題1回目7.5分、休憩25分、ストループ課題2回目7.5分というスケジュールでした。

 

この結果、運動グループでは、ストループ課題に対する反応時間が運動後に短縮し、コントロールグループでは短縮せず、両者の間には統計的に有意な差のあることが示されました。

 

さらに血流変化を調べたところ、運動グループでは、運動前に比べて運動後に左の背外側前頭前皮質(DLPFC)の酸素化ヘモグロビン(OxyHb)集中度の高まりが観察されました。

DLPFCは実行機能を司る領域で、ストループ課題中に活動することが知られています。

 

中強度の運動は、behavior(反応時間)の観点からも脳血流の増加という生理的な観点からも、実行機能の高まりに関連すると考えられそうです。

 

 

Yanagisawa, Hiroki, et al. "Acute moderate exercise elicits increased dorsolateral prefrontal activation and improves cognitive performance with Stroop test." Neuroimage 50.4 (2010): 1702-1710.