脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

森口繁一教授の評伝

10/28のエントリーで触れた、森口繁一教授(故人)の逸話を読んでみたいと思い、今野浩著「工学部ヒラノ教授と昭和のスーパー・エンジニア —森口繁一という天才— 」をざっと読みました。「この本の構成中に交通事故で亡くなったジョン・ナッシュ教授」という記述を読んで、この本が今年刊行されたばかりであることに気づきました。

 

「著者が東京大学工学部「数理工学コース」に進んだ当時、学生定員は8名、講座の教授・助教授は各2名だったそうです。教授の一人は、本書の主役である森口教授であり、もう一人は近藤一夫教授でした。」(本書15ページ)

 

近藤一夫教授といえば、(私の記憶が間違いでなければ、)甘利俊一先生の指導教官なので、甘利先生も登場するのだろうか?という点にも興味が出てきました。パラパラとめくっていると72ページに登場しています。

 

その他、日米の多くの研究者が登場します。どんな研究者が出てくるかは本を読んでのお楽しみということでここでは触れないでおきます。

 

全体として人物評伝なので、ブルーバックス的な研究概要を知るという楽しみは少ないかもしれませんが、「工学部三十年に一人の大秀才と謳われた」天才エンジニアとその周囲の人々をめぐる悲喜こもごもの人間ドラマが楽しめることと思います。私は戦後の日本の復興を担ったエンジニアたちの奮闘に思いを馳せながらページをめくりました。

 

 

参考文献:

今野浩著「工学部ヒラノ教授と昭和のスーパー・エンジニア —森口繁一という天才— 」青土社