心地よい香りは、内側眼窩前頭皮質の活動を高める(fMRI研究)
心地よい香りと不快な香りを嗅いだときの主観的な感覚は大きく異なります。
さて、脳の反応にはどのような違いがあるのでしょうか?
Rollsらは、fMRIを用いて検証実験をおこないました。
実験では、参加者に心地よい香り(pleasant odor)と不快な香り(unpleasant odor)を嗅がせました。
心地よい香りの例はgeranyl acetate(酢酸ゲラニル)です。これは「バラの香り」として知られています。
不快な香りの例はhexanoic acid(ヘキサン酸)です。これは「山羊のチーズのにおい」です。
心地よい香りを嗅がせたときの脳活動と主観的な心地よさのレーティングの大きさが相関した領域として、内側吻側眼窩前頭皮質(medio-rostral orbitofrontal )が特定されました。
この研究により、心地よい香りと不快な香りが異なる神経経路を活動させることが、初めて明らかになりました。下記に結果をまとめました。
・心地よい香りには、内側の眼窩前頭皮質が反応
・不快な香りには、眼窩前頭皮質の外側部が反応
・両方の香りに対して前部帯状皮質(ACC)が反応(ACCは香りの弁別の際にも活動することが以前から知られていた)
同じ香りなのに、快か不快かで、活動する領域が異なるというのは興味深いですね。
参考文献:
Rolls, E. T., Kringelbach, M. L., & De Araujo, I. E. (2003). Different representations of pleasant and unpleasant odours in the human brain. European Journal of Neuroscience, 18(3), 695-703.