心地よい香りについての脳波(EEG)研究
「心地よい香りは脳波の前頭部非対称性を左脳優位に(EEG研究)」
香りの心地よさを脳波で調べることはできるのでしょうか?
ポジティブ感情や接近動機に関係すると考えられている前頭部非対称性をもちいて、香りの心地よさを分析した研究があります。
参加者は58歳から70歳までの女性58人です。
脳波のデータは49名について最後まで取得し、香りの好みに関する質問紙は40名について取得できたため、それらのデータをもちいて分析をおこなっています。
脳波計を装着した状態で参加者に、バニラ、ヴァレリアン、水の香りを嗅がせて、そのときに前頭部非対称性がどのように変化するかを調べた研究があります。
ヴァレリアン(valerian)とは西洋カノコソウのことで、香りの成分に吉草酸を含み独特の香りがあります。
参加者の心地よさのレーティングの順位は、バニラ>水>ヴァレリアン、
香りの強度は、ヴァレリアン>バニラ>水でした。
香りを嗅いでいる際の、前頭部の電極のアルファ帯域(8-13Hz)のパワーのログをとったところ、バニラの心地よい香りに対しては、左脳優位の前頭部非対称性が観察されました。これは接近動機orポジティブ感情の高さを反映していると考えられます。
いい香りは、脳の状態をこのように変化させるのですね。
参考文献:
Kline, J. P., Blackhart, G. C., Woodward, K. M., Williams, S. R., & Schwartz, G. E. (2000). Anterior electroencephalographic asymmetry changes in elderly women in response to a pleasant and an unpleasant odor. Biological Psychology, 52(3), 241-250.