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脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

平均への回帰

お盆休みですね。

小中学校から高校大学まで、学校は夏休みまっただ中でしょうか。

スポーツ系の部活動は、炎天下の中、活発に活動をおこなっていることと思います。

 

スポーツや音楽など様々な技能を伸ばすために、指導者は厳しく叱って指導した方がいいのでしょうか?それとも褒めて育てた方がいいのでしょうか?これは指導者にとっての永遠の課題といってもいいのではないかと思います。

 

心理学者のダニエル・カーネマンがイスラエル空軍でレクチャーを持ったときに、心理学的な知見に基づいて「技術を向上させるためには、褒めたほうがよい。ラットでもハトでもヒトでもそうだ」と述べたそうです。

 

これに対して、イスラエル空軍のベテラン訓練教官が「訓練生は、うまくできたときに誉めると次には失敗し、叱りつけると次にはうまくいく。だから、叱ったほうがよい」と反論をしたそうです。

 

これに対しカーネマンは「叱るとうまくいく」というのは因果関係として間違っていると議論しています。

 

これは「平均への回帰」と呼ばれる現象で説明がつくのです。

 

ヒトがほめられるときは、普段以上のパフォーマンスが発揮できたときなので、その次は成績が下がってしまいます(ほめられても、ほめられなくても、平均的なパフォーマンスに近づく)。ヒトが叱られるときは、普段以下のパフォーマンスしか発揮できなかったときなので、その次は大抵成績が上がります(叱られても、叱られなくても、平均的なパフォーマンスに近づく)

 

これが「平均への回帰」です。

 

つまり、失敗した時に体罰を含めて厳しく叱ったら次回に成果がでるというのは、因果関係ではなく、平均への回帰が観察されているだけの可能性があるのです。

 

部活動の指導者は、叱って育てるにせよ、褒めて育てるにせよ、「平均への回帰」の意義については、よく胸に留めておいてほしいと思います。

 

 

【参考文献】

ダニエル・カーネマン「ファスト・アンド・スロー」(原著2011)