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脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

割引率の高い人(衝動性の高い人)はセロトニンが少ない

以前のエントリーで、割引率、割引因子について述べました。

http://neuroscience.hatenablog.jp/entry/2015/08/15/144906

 

直近の報酬と、少し未来の大きな報酬とのどちらを選択するかによって、調査参加者の衝動性の高さ(割引率の高さ)を調べることができます。将来の大きな報酬を待てずに、直近の小さな報酬を選んでしまう人は衝動的で時間割引率が高い人である、と評価するのです。

 

日本を代表する脳科学の研究機関のひとつであるATRにおいて、時間割引率と脳内の神経伝達物質の関係を調べる研究が行われました。

 

これによると、セロトニンが少なくなるようにアミノ酸トリプトファン)の摂取を減らされた参加者は、時間割引率が高くなりました。また、セロトニン不足の参加者と、セロトニンが通常量/多めの参加者では、報酬系である線条体の活動部位が異なるという脳機能イメージングの結果が得られたそうです。

セロトニンの量(トリプトファンの摂取量)の違いが、このような衝動性の違いを生み出すという事実はとても興味深いと思います。研究グループはADHDなどの治療に応用しようと試みているようです。

 

 

【参考URL】

読売新聞「報酬選択脳どう動く? 今すぐ1万円か1週間後に1万2千円か」

http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/CO004347/20150831-OYTAT50079.html

 

※新聞記事はすぐに消えてしまう可能性がありますので、お早めにご覧ください。

 

【参考文献】

下記の2009年の研究の続きのようです。

 

Tanaka, S. C., Shishida, K., Schweighofer, N., Okamoto, Y., Yamawaki, S., & Doya, K. (2009). Serotonin affects association of aversive outcomes to past actions. The Journal of Neuroscience, 29(50), 15669-15674.

 

 

上記論文のプレスリリース:

衝動性が生みだす社会問題を脳科学から解明へ~痛い目にあっても学習できないのはなぜ?~

http://www.nips.ac.jp/srpbs/press/item_243.html