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脳 Brain, No Life(仮)

とあるニューロベンチャー企業の研究員のつぶやきを記録するブログ

主観的輪郭を表現する脳部位

黒いパックマンを3つ、白い背景の上に三角形の頂点をなすように配置し、互いの口(切れ目)を向かい合わせます。すると、ないはずの三角形が浮かび上がってみえます。これはカニッツァの三角形と呼ばれます。主観的輪郭によって三角形ができあがっているのですね。

  

また、三角形が浮かび上がってみえるだけでなく、三角形の部分が周囲の「地」の部分より明るく感じられることがわかっています。

 

さて、この主観的輪郭ですが、脳のどの部位の働きによって知覚することができるのでしょうか?

 

これまでの研究で、脳の二次視覚野(secondary visual area, V2)に主観的輪郭に反応するニューロンがあることがわかっています。

 

 

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V2に主観的輪郭に反応するニューロンがあることを確かめるための実験についてご説明します。まず、上のfigureをご覧ください。

AとCは主観的輪郭がある視覚刺激、BとDは主観的輪郭がない視覚刺激です。BとDは実線によって主観的輪郭が生じないよう工夫されているのですね。

 

さて、このような刺激を提示されたときのニューロンの活動を表すのが下のfigureです。

 

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1は黒い「実線」が刺激です。丸で表されたニューロンの受容野をこの線分が横切ると、バババッとニューロンが活動します。視覚刺激の右側にあるのがラスタープロットと呼ばれるニューロンの発火の時系列パターンを表したもので、白い点が発火1回を表しています。ラスタープロットを見ると、実線に対して、このニューロンが反応選択性を持っていることがわかります。

 

2が「主観的輪郭(主観的線分)」を生み出す刺激です。この主観的な線分が、このニューロンの受容野を横切ったときのラスタープロットを見ると、発火が起きていることがわかります。実線よりは反応が弱いですが、あたかも線分があるかのような反応を示していることがわかります。

 

3は主観的輪郭が途切れた刺激(つまり主観的輪郭がない刺激)に対する反応です。ぐっとニューロンの発火が抑えられていることがわかります。

 

 

この実験により、V2のニューロンが主観的輪郭を表現していることが明らかになりました。

 

 

参考文献(&図の引用元):

Peterhans, Esther, and Riidiger von der Heydt. "Mechanisms of contour perception in monkey visual cortex. II. Contours bridging gaps." The Journal of neuroscience 9.5 (1989): 1749-1763.